7弦ギターが欲しいぞお! [ギター]
学生の頃、それこそ清水の舞台から飛び降りるつもりで、ダイアナポールトンのダウランドのリュート曲全集を買った。
4,000円は当時の学生なら一週間暮らせる金額だったが、えい、っと買ってしまった。30年近く前だが、買ってよかった。今では宝物。
これをどうしてるかと言うと、もちろんリュートを持っている訳ではなく、またリュートがあったとしてもギターから転向するつもりもなく、なんとかギターで弾こうとしてきた。たま〜に6弦でで弾ける曲(例えば8.Piper's Pavan、10.Solus Cum Solaとか)もあることはあるが、ほとんどは7弦目Dが必要な曲が圧倒的に多い。ルネサンスリュートには7コース13弦を超える楽器もあったはずだがダウランドはほとんど使わなかったようだ。要するにダウランドのリュート独奏曲は7コースあれば演奏できる。
折衷的ではあるが、そのために7弦ギターが欲しい。上からg'd'afcGD。これがあればポールトン編はまず全部演奏可能になる。特に美しい2.Forlorn Hope Fancyや4.Farewell、5.A Fancy、7.A Fancyなんかの、ここはというところでオクターブあげなきゃならなくなるということが無くなるのは有意義じゃないかい。
実はこのギターでバッハのBWV997組曲に必要な低音が充実する。この曲はバッハらしい内容の深いすばらしい曲なのに他の例えばクラビア曲なんかに比べて全然知られていない。ギターでたまに耳にするがまるでパロディのような意味不明の表現ばかりが連続する、あさっての方を向いたおかしな演奏ばかりでまともなものが少ない。これはひとつには実質的に6弦のギターでは演奏不能である、という面もある。もともとバロックリュート用で13コース24弦なんていう弦の数は多いし、弦間音程が最小短三度という左手には負担の少ない楽器のために書かれた曲なのでギターでやるには限界がある。でもバロックリュートでもこの曲は簡単に弾ける訳ではない。
ボーリンの11弦ギターでも音程はカバーできるが、ひとつの弦で二つ音を鳴らさなければいけないところがある。こればかりはどうしようもない。
どうせ難しいならあきらめて、せめて物理的に再現可能な楽器から始めてみたい、と思ってあともう一弦増やすことを考えた。
欲しいなあ、要するにルネサンスリュート調弦のギターだよな。誰も作ってないみたいなので特注かなあ。それだと一声50万円から、とか言う話だろうなあ。
当方は40年前から10弦ギターを所有し、最低音は7弦のAです。通常はCですが、イエペス編の曲によってDに揚げることもあるので7弦だけはハナバッハでなくaranjuezのものを使っています。
最近ようやくAに下げてもボディが鳴ってくれるようになりました。アマチュア40年の練習量なんかプロだと10年かからないのかもしれないですが。
by 98user (2016-05-17 17:17)
コメントありがとうございます。
40年前といえばイエペス以外で10弦の楽器を持っている人は世界でも数えるほどしかいなかったんではないでしょうか。もちろん今でも10弦はみんなが持ってるというわけではないと思いますですけど。
僕が1台目のまともなクラシックギターを買ったのが41年前でした。今でもその楽器は弾きますが、10年ほどで弾き潰してしまってみかん箱に弦を張ったような音しか出なくなりました(櫻井さんゴメンなさい)。
この記事を書いた9年前に比べて、南米のレパートリの影響なのかフルスケールで7弦の楽器が手に入りやすくなりました。でもバロックリュートをイメージするとちょっと違うかな、という感じがしてしまいます。
今ではギターに適した木が高騰してるせいもあるのか、特注すると百万になりそうな雰囲気なので、ますます手が出なくなってしまいました。
弦の問題もあります。僕はテンションの高い弦が使いやすくて、最近はダダリオのExtra Hard(EXP44)をずっと使っています。4度下の低音弦に何が使えるか悩んでしまいます。
ちなみに、ギターを弾く人に「ダダリオ使ってる」というと大抵の人は、あんなペナペナの、ツルツルの、とか言ってすごく評判悪いようです。
面白いです。
by decafish (2016-05-17 21:41)