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ギターによるバッハ [ギター]

こないだから気にしているLilypondでなにをやりたいか、というとバッハのリュート曲のギター用の自分の編曲を作りたいから。
バッハのリュート曲の楽譜は古典中の古典ブルーガー版にとどめをさす。


もう初版が1921年なのでとてつもなく古い。譜面づらも

こんな。よく見えんか。

当時ブルーガー博士はバッハ協会とはほぼ独立に一人でバッハのリュート曲を集め校正し、初めて出版した。「序」では当時のバッハ協会のリュートの扱いに対する不満が書かれている。ほとんど90年経ってすでにバッハ協会の新バッハ全集が完結しているが状況はそれほど変わっているとは思えない。

出版に際してブルーガー博士は、バッハの自筆譜が残ってそれにはっきりと「リュートのための」と書かれているものから、自筆譜は遺失し曖昧なタブラチュアしかないものも「バッハのリュート曲」として一緒くたにしてしまった。それがリュートの世界ではスタンダードになってしまっているがバッハ協会は慎重で「リュート、あるいはその他の楽器のための」とか「楽器不明」になっている。

バッハ協会の姿勢はそれで正しいとして、ブルーガー博士の説得力はその再現された音にある。この曲集に載せられた曲すべてがメカニックにおいて、曲趣においてリュートが前提になっていると思わずにはいられないものばかりになっている。

詳細な校正レポートが曲集の付録についているが、これをすべてバッハが書いた通りの音符にした(ブルーガー版はコントラ弦を持つギター用に書かれている)ときに、一音たりとも当時のバロックリュートで弾けない音はない(1006aのプレリュードなどのスコルダトゥラ(変調弦)は考慮したうえで)、つまりひとつの弦で二つの音をならすとか、左手人差し指と小指で15cm離れた位置を押さえるとか、ということは一切ない。

また、チェンバロでならここで3声目が入ると思えるようなところで見送られていることや、無伴奏ヴァイオリンやチェロの曲が先に成立してそれから編曲したものにはリュートらしい低音を充実させた追加がある点、曲全体の音域がオリジナルではリュートに自然な音域になるように設定されている(ブルーガー版はギターに適した調に移調されていて不自然な曲もある)、などなど音符を読んでみると一曲一曲すべてがリュートのために作られたとしか思えなくなってくる。ただし残念ながらBWV997は異常な点が頻出する。音域についてもメカニックについても、いかなる楽器も当てはまらない(現代ピアノは可能であるがそれをバッハが知るはずはない)バッハは何を考えていたのか? しかしそのBWV997を含めてはっきり「リュート用である」と言いきったブルーガー博士は偉かった。

クラビア曲のピアノ編曲版なんかにはすでに「新バッハ全集準拠」とうたわれたものが出回っているが、この曲集の日本語版はずっと絶版になったまんま。かといってリュート曲集の「新バッハ全集準拠」なんて見たことがない。どーするよ、おい。


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