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「レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ」の音楽 [昔話]

先日、N響アワーでメシアンとは全然関係ないのに思い出したヴォーン・ウィリアムズについて、ちょっと。

高校のとき買ったレコードの余白に入っていた「トマス・タリスの主題による幻想曲」にまいってしまった。何の余白だったかもう思い出せないけど、本編そっちのけで何度も聴いた。弦楽だけの大中小とスケールの違うアンサンブルが組み合わされた合奏による、調性的に遠い和音が教会旋法的につなぎ合わされたテーマの、特に後半のフォルテになったところでの厚みのある重音とチェロやヴィオラの動きの大きい分散和音の部分は、遠い憧れを呼び起こされるみたいで、がさつな男子高校生にとっても胸キュンものだった。

そのすぐ後、何かのきっかけで「南極交響曲」のレコードを買った。古いプレヴィンの録音だった。レコードジャケットにはたしか寒そうな氷河とそれにオーヴァーラップして白抜きの漢字で「南極」の文字があったのを思い出す。つや消し印刷の妙に分厚くて重いジャケットだった。映画音楽をいいとこ取りして交響曲にしたもので大編成のオーケストラと風音発生機(何というのか知らないけど映画の効果音用のびゅーびゅーなる機械)や歌詞の無い遠くのソプラノがいかにも寒かった(でもシベリウスの寒さとは違う)。なんでこんなレコード買ったのかよく思い出せない。

その後、大学に入る直前に輸入盤の交響曲8番のレコードを買った。新品で800円ぐらいだった。こんどはボールトで夜のロンドンブリッジかなんかが青く暗い空に浮かんでいる写真のついた厚紙袋(見開きではないぺらぺらの)がジャケットになっていた。これでヴォーン・ウィリアムズを見直した。新しさは無いけれど、どの楽章も気の利いたひねりのある曲で、短めの簡潔な表現も気に入ってツボにはまった。1楽章は3拍子の「レソミラーー」がテーマの変奏曲で、2楽章は管楽器だけのスケルツォ、3楽章は逆に弦楽だけのカヴァティナ、4楽章はまたフルオーケストラで鐘が鳴ったりする音色のアイデアが面白かった。

8番が気に入ったせいで大学に入ってから「2番(ロンドン)」、「3番」、「1番(海の交響曲)」なんかを買ったけどどれもおうぎょうで退屈だった。

それからずっと後に、いい加減オヤジになってから声楽曲のCDを買った。「ト短調ミサ」は無伴奏でグレゴリオ聖歌風のソロと「トマス・タリス」風のダイナミズムと和音連結がまた胸キュンものだった。三つ子の魂百まで。こういうのに弱いというのは高校の頃刷り込まれていたということ。

ずっと前から、古風なジーグ風の速めの3拍子の曲に弱いのも、きっとこのへんの刷り込みがあったからだろう。いや、それをいうならバート・ヤンシュやジョン・レンボーンやレッド・ツェッペリンも刷り込みに加担してるけど。ブリティッシュフォークソングは日本人には結構いけると思うんやけどなあ、どうかなあ。
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