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変調弦その20「BWV996サラバンド」 [ギター - 変調弦によるバッハ編曲]

久しぶりの新しいバッハリュート曲のギター編曲。
これは自信作。
0515sarabande.png

3弦をfisに下げることで本来の繋留音が再現できるようになった部分がある。例えば第2小節の低音。普通の編曲での3弦がgでは、第2小節第3拍の<a fis e>の和音構成は不可能になってしまうため、低音がその影響を受けてしまって、低音が
|e-fis-e|dis...
と動いているように聴こえてしまうが、それでは動きすぎ。本来のバッハの意図では小節全体にわたってeのまま動かないで、第3小節に入ってdisに解決するのが正しい。そうした方が最初の4小節のまとまりはずっと強固になる。これが3弦をfisに下げることで再現可能になっている。弦間の音量差には注意が必要だが。

他の部分も可能な限りオリジナルを再現できるように努力した。 ただし、バロックリュートとの弦間音程の違いからどうしても再現不可能な音が(調弦に関わらず)多い。全曲楽譜中のカッコに入った音はオリジナルにあるけどそういう再現不可能な音だが、例えば第4小節の最後の和音は致命的。このサラバンドではなるべく影響の少ない音を選ぶ(省略する)ことが比較的可能だけれど、BWV-996はどの曲も再現不可能な構成音を持つ和音が頻出してしまう。難しい。

このサラバンドは、あまり問題にされることの少ない曲ではあるけど、ちゃんと弾いてちゃんと聴いてみると、和声がバッハらしく充実していて、短いけれど緊張と緩和が交互する美しい曲。若い頃のバッハの挑戦的な頑固さもどことなく見える気がする。

全曲の[pdfファイル]
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