lilypondもマニュアルが読みやすくなっていた [音楽の周辺]
小刻みにアップデートしているLilypond。今月は2.11.65があがっていてあまりに頻繁なので追っかけてなかったら、Documentationのスタイルが変わってて読みやすくなってた。これはいい。
Lilypondはアップデートが頻繁だし、仕様変更も多いので、ずっと追いかけてても手間ばかりかかってしまう。かといってstableはもう古くて、ぜんぜん仕様が違ってるところもあって、stableがアップデートされたとき乗り換えが面倒になる。ということでたまにサイトを覗きにいって今やってることに関係ありそうなときだけアップデートすることにしていた。
stableの2.10のドキュメントと並んでるので見比べることができるけど、2.10では
- Tutorial
- User manual
- Examples
- Grossary
- etc...
- Learning Manual
- Music Glossary
- Notation Reference
- Internals Reference
- etc...
ソースを見るとtexi2htmlでLaTeXから変換されたものらしい。でもいつも見るあの素っ気ない「Next」「Up」「Previous」の四角いMotif Widget風のボタンが左上に並んで出てくるレイアウトではない。こんなこともできるんやね。以前自分で展開したlatexではうまく動かなかったのでくじけたけど、これを見たらtex2htmlをもう一度挑戦してみたくなった。
古い「Tutorial」では「とりあえず使ってみよう」みたいな感じで始まるくせにそのままどんどんいってしまう。本当にとりあえず使いたい人にとってどこで一段落させればいいのかわかりにくかった。そのかわりの「Learning Manual」では基本的には同じだけど使い方に集中して細かいところは「Reference」を見てね、となっている。
また、音楽用語が英語で書かれていて、イタリア語での名前は知ってるのに「これ、英語でなんていうの?」なんてことがよくある。多分そういう人が多かったのだろう、「Music Glossary」が辞書がわりになっている。まだ使いにくくて充実にはほど遠いけど、これは絶対必要。ただ残念ながら、日本語はまだひとつも入っていない。トップの「About...」などは一部日本語で読めるところがあるのでこれからに期待。
古い「User Manual」も「Notation Reference」と「Internals Reference」に分割された。Lilypondは本体が記述されているSchemeのインタプリタであるGUILEを透過的に呼び出すことができ(「#」記号以降にSchemeのシンタクスで記述する)て、微妙な調整やプログラミングなどができるけどこれがまたわかりにくかった。Lilypondへの記述は「Notation Reference」にまとめられて、GUILEを呼び出すのは「Internals Reference」にまとめられてる。
Lilypondみたいなーザが指定しなければいけないことがいっぱいあるソフトではマニュアルの充実は非常に重要で、これまでもLilypondはマニュアルには力が入っていたけど、今回の整理は歓迎したい。できれば日本語が充実するとありがたいのだけど。
もうすぐ 2.13 にバージョン アップすると思います。
ドキュメントに日本語訳が加わりつつあります。公式ページではまだアップされていませんが、上記の URL に 2.13 のドキュメントがアップされています。
感想、誤訳の指摘、改善案など聞かせてもらえるとうれしいです。
by hogehoge (2009-03-04 00:51)
URL は
http://www.kainhofer.com/~lilypond/Documentation/index.ja.html
です。失礼しました。
by hogehoge (2009-03-04 00:53)
コメントありがとうございます。これはすばらしい! 膨大な労力と献身に頭が下がる思いです。じっくり拝見させていただきます。僕の周りでLilypondを使っている人はいなくて、みんなDAWソフトのおまけの清書機能なんかに甘んじています。このご努力でLilypondユーザが広がることを期待します。何度も言いますがすばらしいです。本当にありがとうございます。
by decafish (2009-03-04 22:50)
LilyPond 2.13.0 がようやくリリースされました。
まだコンパイル済みのものは配布されておらず、git でソースコードを入手して自前でコンパイルしなければなりませんが。
ドキュメントも
http://lilypond.org/doc/v2.13/Documentation/index.ja.html
にアップされています。
まだ日本語ページで不具合がありますし、未訳部分も多いですが、おいおい修正・加筆していこうと思っています。
自前でも
http://lilypond.web.fc2.com/Documentation/index.ja.html
にアップしました。日本語訳のアップはここが一番早いはずです(自分でアップしているので当たり前ですが^^;)。
仕事がたいへんだったようですね。私もコンピュータ関係の開発職をかじったことがあるので、たいへんさは何となくわかります。作業が予定通りに進まないと、頭の中はぐるぐる、目の前が真っ暗になりますよね>_<
私の場合は、そういったプレッシャーに耐えられないことがわかったので、運営・管理といったユーザ サイドでコンピュータに係わる仕事に思い切って転向することにしました。この4月から新しい仕事なので、今はわたわたと慌しいですね。
仕事が壁に突き当たっていても、decafish さんのようにブログを更新するといった余裕を持つということは大事ですよね。私も仕事にどっぷりはまらずに、何か仕事以外のこともやっていれば仕事を続けられたのかな~などと考えたりします。私の場合は LilyPond ドキュメントの翻訳がそういった仕事以外の活動になってきているので、息の長い活動にしていければ良いなと思っています。
コメントのくせに長々と書いてしまいました^^;
by hogehoge (2009-03-30 19:20)
コメントありがとうございます。2.11をしょぼしょぼと追いかけていた身としては2.13はもう少し2.12との乖離が大きくなってからにします...僕の環境ではソースからのコンパイルは敷居が高いので(GUILEがうまく通らない)。
日本語訳をじっくり読ませていただきました。これはほんとうにありがたいです(コマンドインデクスの日本語化は非常に便利です)。今回始めて「導入部」をちゃんと読みました(英語しかないころはすっ飛ばしていました)。Lilypondは実に志高く、でも大上段に構えず気軽に、かつ地道に進めようという姿勢がよくわかり、プロジェクトスタイルのお手本だと思います。すばらしいです。
マニュアル日本語化の進行には期待しております(日本語化でさらにFinaleユーザが僕のように移ってこないかな、などと思っています。NotePadも有料化されることだし)。無理をしない程度に、がんばってください。
ところで、私の場合「余裕」というより単なる「愚痴の書き散し」というようなものですが....
by decafish (2009-03-31 22:21)
LilyPond の Notation Reference 日本語訳を更新しました。ここで報告するのもすっかりお馴染み?
http://lilypond.web.fc2.com/Documentation/user/lilypond/index.ja.html
引越し先の賃貸マンションで管理不動産屋ともめてしまい、まだインターネットを引いていません(結局、ぐだぐだと住み続けることになりそうですが。。。)。手元にある電子手帳を使って細々と作業を進めている状態です。インターネットが使えないと不便で仕方ないので、そろそろプロバイダと契約しないと。。。
LilyPond プロジェクトの方々とはしばらく連絡をとっていなので、すっかり忘れられているかもです^^;もう少し訳がたまったところで、また連絡をとって公式サイトに日本語訳を加えてもらおうと思っています。
by hogehoge (2009-06-13 18:43)
コメントありがとうございます。進捗確認させていただきました。記譜法のリファレンスはありがたいです。最近ここではLilypondでタイプセットした譜面を上げてないので心苦しいですが。
公式版のLanguage selectionで自動的に表示される日本語ページが増えるのを見るだけでもなんとなくうれしいです。ぜひとも、プロバイダ契約されることを、強くお勧めします。
by decafish (2009-06-16 22:58)
はじめまして、僕もLilypondをちょこちょこと使っております。マニュアルが整理されて、非常に分かりやすくなりましたねぇ。最近Sibelius5を使ってましたがwinXPがおかしくなって、またLilypondに戻ってまいりました。Lilypondいいんだけど、やっぱりなれないと入力しづらいし、読みにくい。頭の中でちゃんとスコアが構築されてるなら話は別なんでしょうけど。ちなみに海外の中学校のブラスバンドや授業の教材作りに使ってますが、まだまだです。
by スンズンキ (2009-07-15 13:28)
コメントありがとうございます。
昔、日本語版が出たばかりの「サイベリアス(教えてくれた人がそう呼んでいた)」を触ったことがあったのですが、ユーザインターフェイスがその当時メジャーだったFinaleより整理されてわかりやすかったのを覚えています。
単なる文章などに較べて楽譜はとくにWYSIWYGは重要な要素です。以前ここでも言及しましたがLilypondのソースを読んでそれが表している音符を連想できるまでにはかなりの修行が必要です。
しかしLilypondは手に入れるのに、んン万円も出さずにすむことと、ページ全体の中での音符の配置のバランスが良く、音符のフォントも強くてテンポの速い曲の読譜や初見に有利です。昔使っていたFinale(の体験版の裏技使用)では音符の位置の微調整をするのが当たり前でした。
それでもはっぱり、誰か達人がLilypondのWYSIWYGフロントエンド(GUIエディタではなく)を作ってくれないかなあ、とか思ってしまうのではありますが。
by decafish (2009-07-16 22:25)
LilyPond の Notation Reference 日本語訳を更新しました。
あとは用語を若干変更・整理しました。
「LilyPond ソース⇒音符」ではありませんが、逆に「楽譜⇒LilyPond ソース」を見ることができることはご存知でしょうか?
http://lilypond.web.fc2.com/Documentation/user/lilypond-program/Point-and-click.ja.html#Point-and-click
他にもマニュアルを読んでいて、「あ、こんな機能があったんだ」と思った記憶があるのですが。。。思い出したらまた投稿します。
by hogehoge (2009-07-17 06:28)
コメントありがとうございます。
この機能は全然知りませんでした。これは面白い。全部の音符にリンクがつきました。ブラウザを経由するのは遠回りのような気もしますがPlatform依存を減らすには正しい手法かもしれません。
PDFをクリックしてTeXShop(僕が使っているMac用のTeXフロントエンド)の内部エディタに戻れないか研究してみます。それができると便利だなあ。
by decafish (2009-07-18 06:34)
LilyPondTool という jEdit (テキスト エディタ) プラグインが面白そうです。
ちょっと使ってみただけですが、面白いと思った機能は:
・LilyPond のテンプレートを自動で作成してくれる
・LilyPond 実行環境やPDFビューアを持っている
・PDFビューアからクリックでエディタに戻る
・鍵盤で音符を入力できる
・スラーの調節をPDFビューアでできる(のかな?)
決して TexShop ユーザに喧嘩を売っているわけではありません^^;
ちなみに私はLilyPondソースを普通のテキスト エディタ(秀丸)で書いています。。。
by hogehoge (2009-09-21 01:03)
コメントありがとうございます。僕もLilypond NewsのJuly28で知ってインストールしてみました。なかなか至れり尽くせりで、非常に便利です。ただ、TeXShopのインターフェイスがシンプル(もちろん機能もずっと少ないのですが)なのに比べるとごちゃごちゃ加減は半端じゃない、という感じがします。
おっしゃる通り、やっぱりPoint&Clickは便利です。TemplateのいくつかはTeXShopに移植したいです(誰かしてくれないかな、という意味ですけど)。
ひとつ注意としてMacOS XではPlugIn OptionsでlilypondコマンドのPathを書き換える必要がありました。
by decafish (2009-09-21 21:10)