偏光の計算 - その8 [偏光のMathematicaによる計算]
今日は東京出張だったので自宅に帰ってる。やっぱりうちがええわ。
位相差を測定する方法であるセナルモン法の原理の説明の続き。今日はポアンカレ球上でどうなってるか、を考える。
ポアンカレ球の上での軌跡
ジョーンズベクトルで計算するとセナルモン法で位相差が測定できることは計算できるけど、非常に煩わしいし、どうもピンとこない。
ポアンカレ球の上で考えてみる。
まず、ポラライザを通過した光は北緯0°東経0°の横偏光になっているとする。図-4のように、異方軸が45°方向(s2軸方向が位相の回転軸)を向いた被検波長板を通った後は、その位相をδとすると、P1のような楕円偏光になっている。図では1/4波長(90°)の手前のアイスランドの東の海のあたりになっているけど波長板の位相差によってはもっと少なくてサハラ砂漠のど真ん中かもしれないし、あるいは北極を行き過ぎてアラスカへいっているかもしれない。
そして、0°方向(図のs1が回転軸)を向いた1/4波長板によって90°(=360°/4)回転し、図-5のP2ような位置の楕円偏光となる。 この位置はP1をs1軸を中心にぱたんとs2軸上に倒しただけなので、図中δ'はδと等しくなる。これは被検波長板の位相差P1がガーナだろうが北極だろうがハワイだろうが常にそうなることがわかる。そしてP2の位置は赤道上に必ず戻ってくるので直線偏光となり、その偏光方向θは
となる。セナルモン法はこのような作業を行っていることになる。そしてこのようにポアンカレ球上では偏光の様子を直感的に捕らえることができる。
セナルモン法のまとめ
位相差はいちばん最初に出てきたストークスパラメータを測定することでも知ることができるが、このセナルモン法の方が同じ光学部品を使っても高精度な測定が可能である。
それは
- ストークスパラメータは光強度の値を測定する必要がある
- セナルモン法では強度の値は不要
- セナルモン法では光が透過しなくなることが確認できればよいので、目視でも可能
- 光強度の測定は現在ではパワーメータなどを使って行われるが、絶対値の誤差で10%、繰り返し誤差でも5%程度が保証されているに過ぎない
- 角度の測定精度には、高精度な方法が多く存在し、簡単なメカニカルステージでも±0.1°程度の誤差におさまる
- ストークスパラメータから位相に換算するためにはtan-1を計算する必要があるが、強度の比の値によっては誤差が拡大される
- グラントムソンプリズム(Glan-Thompson prism)などの複屈折と全反射を組み合わせた偏光子ではコントラストが105ぐらいある(高価ではあるが)
- バビネソレイユ補償板(Babinet-Soleil compensator)と呼ばれる位相差の調整可能な素子があって、コントラストの高い偏光板があれば高精度に調整できる(これも高価ではあるが)
セナルモン法はなかなか頭のいい方法である。
2009-02-27 23:11
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