考え中 - Fourier領域と実領域の光(3) [考え中 - FDTD法の実装]
Maxwellの方程式にある物質方程式は何を表しているのか、について。
物質方程式が表していること
現在の物理学では、物質はたくさんの微小な正と負の電荷の集積であり、全体として中和していて電荷としては見えなくなっているにすぎないと理解されている。その微小な電荷とはすなわち電子や原子核だけど、その物質に外から電場が入るとそれによって電荷の分布が変化する。それを分極と言って真電荷と区別する。Maxwellの方程式にでてくる「真電荷」とは、例えば帯電した金属球のようなものでマクロなサイズの、まとまった電荷量を含んだ独立した物体を僕はイメージしている。
もちろん物質内の微小な電荷も「真電荷」と考えることができる(というかミクロに見れば実体のある電荷であり、そのマクロな集積が「真電荷」であるにすぎない)。その電荷まで含めてMaxwellの方程式が成り立っていると考えて、電荷の運動と連立させて解くことにすれば電場に関してはDは使わずにEだけで話が済む。しかしそれは大変だし、普通の物質の、普通の電場の中での振る舞いを知りたいのであれば、その微小な電荷は物質内に閉じ込められていて大きく位置が変化することはない。それをいちいち運動方程式と連立させて解くよりは頭のいい方法があって、それがDを使う方法であると言っていい。
それにMaxwellの方程式ができた頃はまだ電子や原子核の概念が確立していなかった。帯電した金属の電場の強さが、電荷が逃げているわけではないのに周りの物質によっては弱まって見えた。メカニズムはとりあえずおいといて帯電した金属が持つ「真の電荷」に関する法則を書こうとしたら、このDが必要になった、と考えることもできる。だから他の言い方をすれば、この式は分極電荷と真電荷を分離するための方便であるともいえる。
まんがにすると図-1のようなイメージだろう。
もちろん、電場が直接目で見えるわけではないけど。まだ、前振り段階で本題に入れない。まあ、ゆっくり行こう。
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