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第1宇宙速度 [昔話]

今から40年前、僕が中学生のときに夏休みの自由研究というのがあった。同級生は皆いいかげんに昆虫や花や雲を観察した。2学期の初めの理科の授業でそれぞれ発表することになった。確か僕は蜘蛛を箱に入れて巣を張るのを観察する、とかいって箱にその辺でつかまえた蜘蛛を入れたら翌日全部いなくなりました、なんていうお粗末なものだったと思う。

その中で、誰がやったのか忘れた(顔は思い出すが名前はわからない)のだけど、今でも覚えている発表がある。

彼は、ちゃんと模造紙に解説のためのを絵を描いていた。水平にボールを投げて、そのスピードをどんどん速くしていくと、やがてはボールの落下よりも地球の曲率のほうが大きくなって、やがてもとにもどってくる。それが人工衛星である、という発表だった。

それを教室の隅で聴いていた理科の先生は激怒した。なにかの本で読んだ話をいかにも自分で思いついたように発表するのはけしからん、といった。「それはお前自身が考えたわけではないだろう」と詰った。

黒ぶちの眼鏡をかけた彼の目が眼鏡を通して見ても丸くなったのを良く覚えている。彼はすごすごと席に戻って小さくなっていた。

しかし、彼の話にはどうやら後半があった。模造紙の半分は彼が人工衛星を飛ばすために「公園でボールを投げた」絵が描いてあった。水平にボールを投げるのは難しい、斜め上に投げるほうが遠くまで届く、どうすると何メータまで届いた、というような表もあった。

結論はもう思い出せない。僕はその先生の態度も驚いたけど、人工衛星という前フリの壮大さと公園での数十メートルというギャップのおかしさもあって記憶に残っていた。しかし彼の発表は実はすごいことだったのかもしれない。

理科教育云々とか言う話にするつもりはさらさらないけど、なぜか突然思い出したので。


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