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BWV1006aプレリュード [ギター - 変調弦によるバッハ編曲]

今日午後のほとんどを費やしてBWV1006aホ長調のプレリュードを見直していた。やっぱり3弦をFisに下げる調弦。以前一回やってるけどもうすでに3年前で、音符を並べるためのLilypondのバージョンがいにしえのものだった。

同じソースでも、最新のStable2.12.3でコンパイルすると(convert-lyを通した後であっても)全然レイアウトが違う。そもそもページ数が違ってるし。デバグを兼ねて数時間かけてギターを抱きながら運指をし直した。

この曲はバッハが無伴奏ヴァイオリンに書いてからオルガンに書き直して、それをカンタータに入れてそれからさらにリュートに書き直したりしてる、バッハ自身のお気に入りの曲でそれだけに超名曲。間口は狭いんだけど懐の深さは尋常ではない。分散和音とスケールが入れ替わるきらびやかさに目を囚われがちだけど、途中から現れる精妙な転調が人生の紆余曲折を感じさせる。たった140小節のこの曲の中にドラマが凝縮されている。

バッハがこの特別なお気に入りの曲を、なぜ他のバッハの得意な楽器ではなくリュート用に編曲したか、ということは非常に大きな問題だとここで指摘をしておく。その理由はリュートの持つ音響的な特徴にある、と僕は思ったのでそれが再現できるような編曲を心がけた。通常のギターの調弦では表現できない面白さがある、と僕は一人思っている。

リュートであっても1弦がFのままの調弦ではそれを発揮しきれない。証拠は残っていないけど、この曲ではバッハもリュートに対して変調弦を要求(第1弦F → E)したと僕は考えている。そもそも当時は変調弦に対してそれほど抵抗はなかった、少なくとも現在の原理主義的リュート奏者が考えるほどには。

変調弦ギターのページのBWV1006aのところから。


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コメント 8

koten

はじめまして。過去記事へのコメントで失礼します。Bach曲のギター変則調弦への適用の研究をされている方の記事に出会い、大いに刺激を受けた次第です。私も今年、BWV1006aを純正律ギターで変則調弦(オープンEの派生形)にアレンジして演奏してみましたので、気が向いたらでも結構ですので、読みにいらしていただければ嬉しいです。
http://justintonation.blog.so-net.ne.jp/archive/c2304197266-1
by koten (2013-10-15 22:56) 

decafish

コメントありがとうございます。
聴かせていただきました。
これはどんな調弦で演奏していらっしゃるのですか?
E-A-D-Fis-H-Eですか?
変調弦はまたひと味違った可能性があると思っているので、これからも試していきたいと思っています。ただ、歳のせいか頭が切り替わらなくて、自分で書いた音符が弾けない、ということが多くなってきてしまいました。
by decafish (2013-10-16 06:58) 

koten

オープンE(E-H-E-Gis-H-E)の状態から5弦だけ全音落としてAにした調弦です。ちなみにオープンE調弦はカルカッシも愛用したようで、その記事も書いておりますのでよろしかったらどうぞ。
http://justintonation.blog.so-net.ne.jp/2013-09-02-1
私も変則調弦の譜読みは苦手なので、TAB譜作って弾いてます(汗)。
by koten (2013-10-16 23:15) 

decafish

すごい調弦ですね。僕は普段テンションの高い弦を使ってるので音高を上げる方向への変更は厳しくて試していませんでした。
しかし面白いです。解放弦が使える可能性がさらに増えます。とくに4弦のEは有用ですね。ちょっとやってみたんですが、4弦のテンションが上がって5弦との差が大きくなりすぎて左指がうまく反応してくれなくなってしまいました。セーハができない。僕の場合、4弦だけテンションの低いものに変えないとつらいです。
完全オープンEは4度上への転調の困難、短調和音との音色の差の問題があると思えるので、E-A-E-Gis-H-Eは有用な解だと思えてきました。試してみたいと思います。
by decafish (2013-10-17 19:31) 

98user

ナルシソ・イエペスのリュートのLPに楽曲ごとの調弦が乗っていて、1006aプレリュードの場合コントラ弦を除くとH-e-a-h-e'-gis'になってました。当方の10弦ギターは三弦をfisにすると音色が暗くなってしまいバランスが崩れるのでプレリュードで三弦a、それ以外でgisというのを試していた時期があります。やはりカンパネラが5弦解放ではこちゃらの感性が許さないというか・・・。今はノーマル調弦で無理矢理指を伸ばして三弦2フレット+4弦7フレットを同時に使ったり、4弦7フレット+5弦12フレットなど試していますが、プレリュードだけは35年経っても結論が出ません。
by 98user (2017-01-14 00:00) 

decafish

コメントありがとうございます。

まさにaの開放弦が欲しいところです。僕もいろいろ試して見ましたが、aのためにはやはり指の長さが足りません。もともとバイオリンのような5度調弦の楽器が前提の曲で、バロックリュートでは弦間音程が密集しているのでf'をe'に下げるだけでたまたま解決してバッハとしてはラッキーで終わった、ということなんでしょうか。
by decafish (2017-01-14 13:41) 

98user

バッハはリュートの奏法や調弦には無頓着だったようで、低音の半音進行を平気で行います。ヴァイスだと7度跳躍させてお茶濁すところです。ところで原曲と思われるBWV29はニ長調でBWV1006aの一弦カンパネラに相当するところは、dやfis、aの連打でdのカンパネラをさっぱり使っていません。バイオリンに編曲する際にe'やaの開放弦を利用しただけなのでしょう。ギターでもカンパネラを絶対にこだわる必要があるのか迷うところです。
by 98user (2017-01-15 19:01) 

decafish

カンタータのシンフォニアはほぼ全部をオルガンが弾いていて、開放弦もなにもないですよね。バッハは自分で気に入ったのを使い回すのですが、あのシンフォニアはなんか違うのではないか、と僕は思ってしまいます。

確かにバッハは調弦には無頓着だったように見えます。でもそれはリュートに対してだけで、バイオリンやチェロには気を使っているように僕には思えます。無伴奏チェロの5番は変調弦をわざわざ指定しているぐらいですし。ちなみにガンバに対してがどうだったか、はよくわかりません。4度調弦の楽器なのでギターに似ているとは思うのですが、じっくり楽譜を見るところまでは行っていません。
by decafish (2017-01-16 09:50) 

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