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ガウシアンビームの光学 - その24 [ガウシアンビーム]

先々週あたりから他人のつまらない尻拭いのために工場を何往復もしていて本来の仕事ができないし、疲れも取れない。正直ムカムカしてる。今日は今日で台風が夜中に近づいたせいでめまいと膝の痛みに悩まされた。平気なときは平気なんだけど、何かの拍子に低気圧の接近で具合が悪くなる。そのときはいつも子供の頃患った膝関節炎のあとが痛む。せっかくの休みをただ寝て過ごしてしまった。

まあ、それはいいとして、ガウシアンビームの続き。「その1」から「その15」までに教科書的な話、そのあと代表的な数値の確認近軸理論瞳から出たガウシアンビームがウェストを迎える様子$z$、 $z_R$とは別のパラメータガウシアンビームの場の特定法近軸マトリクスのおさらい近軸理論との齟齬近軸マトリクスによるガウシアンビームの伝播計算とやってきた。今日は前回の近軸マトリクスによる方法に関する僕の印象を簡単にまとめて、次の話題に入る。次は収差のある場合について....

6.4.8  近軸マトリクスを使ったガウシアンビーム伝播のまとめ

ということで複素数を含んだ形のまま近軸マトリクスを使ってガウシアンビームの追跡が簡単にできるということがわかった。しかし光線の近軸追跡と違って解析的なまま(記号として残したまま)ガウシアンビームを追跡するのにはあまり向いていなくて、どっちかと言えば数値計算用である。なぜなら初めから複素数を含んだ有理式になっていて、あっという間に次数が上がって項数が増えるからである。

しかし、このことに誰が初めて気がついたのか知らないけど、その人は「めっちゃ面白んじゃね!?」とか言ったに違いない。

その通りすごく面白い(僕は初めて見たとき「なんだかよくわからんけどこれはすごい!」とびっくりした)んだけど、では僕は仕事でガンガン使ってるか、というと具体的な問題にはほとんど使ったことがない。なぜかというと、せっかく近軸マトリクスを使ってるのに直感性に乏しいと思えるからで、マトリクスによる計算をまとめる前にやったちんたらした計算法をそのまま使っている。

マトリクスによる計算では、例えば近軸の色々なパラメータ(すなわち射影変換のパラメータ)との関係はよくわからないことが多くて、やはり数値計算の方便という印象が僕には強い。どっちかというと、長い光路の特定の位置にウェストを持って来たいとか、なるべく少ないレンズでビーム径を大きくせずにリレーしたいとかいう場合には威力を発揮する、というふうに感じている。

具体的に計算に使っている人のを読んでみても、レンズのことはよくわからんけど、これを使って機械的に計算すると光学屋に文句が言える、という人が多いような気がする(それはちょっとヒガミが入りすぎか)。僕の知ってる全ての人がレンズをある焦点距離を持った厚み0の素子として扱っていることからもわかる。

ということで、僕は自分で全然使ったことがないのは威張れることではないけど、僕自身はそれで困ったことはない。でもそれをここで他の人に「近軸マトリクスなんて使わなくても全然問題ない」などと勧めるつもりはもちろんない。面白そうだと思った人は是非とも使ってみてもらいたい。思いがけない新しい発見があるかもしれない。

7  光学屋の関心事 収差が存在するガウシアンビーム

以上で、無収差光学系によってガウシアンビームがどう伝播するかは記述することができた。現実の光学系の摂動のうちのひとつ、収差について考える。

収差にはいろいろなパターンがあって単純化することは難しい。しかしガウシアンビームを扱う光学系は前にも言ったように画角を食うような使い方をすることは少ないし、また大きなN.A.(明るいF/No)で使うことも少ない。したがって 例えば磨きの球面レンズの組み合わせの光学系を通過する場合なんかを考えると球面収差が支配的なはずである。

ただし、実際には$R$の大きな球面レンズでもヘボいところが磨くとトーリック面になったり、ちゃんとしたレンズを使ってもレンズの真ん中を通さなかったり傾いたままだったりすると、非点収差やコマ収差が発生する。$R$が緩いからと言って適当に並べたレンズでリレーして収束させたらぐちゃぐちゃのスポットになりました、なんてことがよくある。

ただし、ここでは極端な収差は考えない。摂動とみなせる範囲にする。どこまでを摂動とみなせるか、というのは難しいけど、ウェストから遠いところでの強度分布は収差がない場合と区別つかない、という条件にしておく。これは最後にやるビーム品質測定の話につながる。

7.1  極端な収差とは、例えば

ではどういうのが「極端な収差」なのか、をちょっと述べておく。こういう収差はないよ、という前提で測定する、ということである。

たとえば次の図に示すような収差を考えてみよう。
0917largeaberration.png
これは波面が折れ曲がっているような収差である。これは例えば屋根型をしたプリズムやコーンレンズを通したりしたときに発生する収差である。

瞳にこんな収差が乗った状態でウェストを絞り込むとするとどうなるかというと、下の図のようになる。
0917propagationofaberration.png
つまりウェストのところでふたつに分かれて、ウェストの前後であきらかに対称には見えなくなる。しかしこれは光線収差による直感的な説明図で、回折計算をやり慣れている人ならすぐわかると思うけど実際には回折で広がってぐちゃぐちゃした強度分布になる。

このような形の収差はそれほど大きな光路差でなくてもガウシアンビームの伝播に対する摂動とはみなせない。こういうのをなぜ排除しないといけないか、は測定のところで詳しくやる予定である。とりあえず今はあまり気にしないでいい。
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