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ガウシアンビームの光学 - その28 [ガウシアンビーム]

先月末から工場へ行ったり来たりドタバタしている。先日友人とメールのやり取りをしていてふと思った。若い頃前の会社では忙しいとほんとにへろへろになるまで仕事をしていた。今でも忙しいと土日のあいだずっと計算を回していたり、夜中に寝ていてふと思いついたことを布団の上に起き上がってメモしたり、ということはするけど、残業はほとんどしないし、食事や睡眠にしわ寄せすることはまったくなくなった。それは体が言うことをきかなくなってきたというのもあるけど、僕が今の仕事を、他人事ではないにしてもどこか「ゲーム」のように考えている、ということに気がついた。

若い頃はスケジュールを狂わせるのや他人に迷惑をかけるのとか、あるいは僕自身が役に立たなくなって家族が路頭に迷うような状況が怖かった。最近はそういった不安や恐れを感じることがなくなった。今の仕事も僕がやりたいからかってにやってる、と言う感じがする。むしろ集中力や思考力が低下してやりたいことができないことに対する焦りの方がずっと強い。

子供たちが独立して義務感を感じる対象がなくなった、というのもあるし、ほんとだったら技術屋としては引退してる歳を越してるというのもある。しかし残りの人生を遊んで暮らせるような蓄えはないし、この先何が起こるかはわからない。そう言う状況で、これでいいんだろうかと思わないといけないのではないか、と言う気がする。

でも、どうやらそれは僕には難しいらしい。ということでガウシアンビームの続き。「その1」から「その15」までに物理の話、代表的な数値の確認近軸理論瞳から出たガウシアンビームがウェストを迎える様子$z$、$z_R$とは別のパラメータガウシアンビームの場の特定法近軸マトリクスのおさらい近軸理論との齟齬近軸マトリクスによるガウシアンビームの伝播計算その個人的な印象収差がある場合のウェスト付近の場Fraunhofer回折計算のコツガウシアンのケラれとやってきた。今日はケどのくらいのケラれならガウシアンだとみなせるかについて....

8.1.1  どこまでのケラれならガウシアンと言えるか

もう少しわかりやすくするために、ケラれのないガウシアンビームの幅に対してどのくらい広がったかをみてみる。ガウシアンビームの幅は普通は中心の$1/e^2$(強度で)になる位置を使うのが普通だけど、数値計算の揺らぎがあるのでなるべく安定な値が得られるような半値全幅(FWHM Full Width of Half Maximum)の値で比較する。

下の図は横軸にA/W、縦軸にFWHMのケラれのない場合に対する比をlog-logプロットしたものである。
1015abywvsfwhm.png
図を見れば明らかなように、A/Wが大きくなると急速にけられのない場合と同じ幅になる。A/Wが小さいと傾きが-1、つまりA/Wに反比例するような直線に漸近する。

それぞれの直線の延長の交点は \begin{equation} \mbox{A/W} \approx 1.2 \end{equation} ぐらいの位置にある。ざっくり言ってここを境に左側はsinc的(Airy的)で、右側はガウシアン的である、と言っていい。つまりガウシアンがケラれたとき、A/Wで1.2より十分大きければ、まあガウシアンとみなしていいんじゃね、ということになる。

ただし、この目安の値は1次元のガウシアンの場合で、2次元円形開口だと、もう少し小さな値になる。めんどうなのでもうやらないけど、興味のある人はどのくらいの値になるか計算してみてください。

8.1.2  どこまでのケラれならガウシアンと言えるか - 別の見方

ケラれた場合にガウシアンとみなせる目安を、ガウシアンの幅から与えたけど、もう少し別の見方をしてみる。

もう少しA/Wを刻んだ場の大きさを次の図に示す。
1015abywminced.png
A/W=1.2と1.4とでは幅が迫っていることがわかるので、これ以上A/Wの値が大きくなってもあまり幅は変わらないだろうとは思える。

しかしA/W=1.2でも位相の反転した部分は残っている(1.4でもゼロクロスがわかる)。ということは裾野はまだsincの特徴を持っている、と言える。

もう少し詳しく見てみる。

A/Wをさらに刻んでゼロクロス付近を拡大したものを次の図に示す。
1015aroundzerocross.png
一番下まで膨らんでるのが先ほど目安にしたA/W=1.2の曲線である。そこから大きくしていくとA/Wの値で1.5と1.6の間でゼロクロスがなくなっていることがわかる。つまりそのあたりで強度が0まで落ちずに、(2次元の場合だと)Airyのリングの一番内側がなくなる、ということになる。これは1次元なので、2次元の場合はもう少し小さなA/Wの値でゼロクロスがなくなる。

最初のゼロクロスの位置がA/Wによってどう変化するかを計算したのがこの図である。
1015firstzerocross.png
A/Wが1より小さいときはsinc的で、小さくしていくとN.A.が小さくなっていくことに対応するので、幅が太くなっていく、つまり最初のゼロクロス位置は大きくなっていく、ということになる(A/W=0の極限で発散する)。

逆方向には、A/Wが1を超えるとあるところでジャンプする(黒い矢印のところ)。これは上のゼロクロス付近の図で拡大して見たときのA/W=1.5と1.6の間でゼロクロスがなくなっていることに対応している。

そこではゼロクロスはなくなって位相反転しなくなったんだけど、その次の外側の位相反転は残っていて、そこが最初のゼロクロスと判定されたためである。そのゼロクロスもA/W=2.4あたりで無くなって、つぎの反転に渡されている、ということになる。

そうやってA/Wを大きくしていくと内側の位相反転から順番になくなっていくけど、この図からわかるように位相反転位置は遠くなっていくだけで完全に無くなりはしない、つまり位相反転の存在というみかたをすればいくら瞳径を大きくしていってもガウシアンと同じ(位相反転が全平面で無し)とはみなせない、ということである。

このグラフはあるA/Wで発散することもなく、またある位置へ収束することもなく、ずっと右肩上がりのまま無限大まで続くんだろう、ということが、証明は難しいけど直感的には理解できる。しかし本当にどうやれば証明できるのかな。

まあでも、一つ目の位相反転がなくなるA/W〜1.56あたり(1次元の場合)はガウシアンとみなせる別の目安を与えると考えることができる。

僕は初めてこの最後の図を描いてみたとき、これはなかなか面白い、と思ったんだけど、みなさんはどうだろうか。
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