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読響第574定期 [クラシック]

うちの女房お気に入りのカンブルラン読響の定期演奏会をふたりで聴きにいった。

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なかなか面白かった.....

ブリテンは僕も好きな曲。明るくてわかりやすいメロディと、ブリテンらしい効果的な音色が楽しい。佳演だとは思うけど、僕の趣味としては単純化しすぎるくらいスッキリ整理された演奏の方が、ブリテンが曲に作り込んだドラマが浮かび上がるような気がする。

ヴィトマンのクラリネット協奏曲は作曲者が独奏で、ピッチの違う(443Hzと430Hzだそうである)二組の小オーケストラに打楽器ハープギターなんかが入った曲。オーケストラは左右に分かれて、下手が高くて上手が低く調律している。最初の音合わせですでに気持ち悪かった。曲が始まるとクラリネットはリードミスで出るホーミーみたいな音を連続させる。あれ、出したくないときには勝手に出るくせに、出そうとするとうまくいかない。この作曲者はそれを器用に鳴らしていく。ピアニシモの速いパッセージも粒が揃っていて、彼が超絶技巧の持ち主であることがわかる。

その曲はと言うと、クラリネットの微分音と左右のオーケストラの音程が衝突して、神経症的な打楽器のスフォルツァンドや、バンジョーなんていう珍しい楽器を持ち出しながらその胴体を叩くだけとかいった、前世紀の現代音楽を思い出させる作りになっている。かろうじてクラリネットのどこかとぼけた間抜けな音色が救いに僕には聴こえた。お客さんにはそこそこ受けていたように思えた(僕の左隣のおっさんは曲が始まって1分ほどで爆睡モードに突入して、中ほどまでずっといびきをかいていた)が、たった20分ほどなのに頭も耳も疲れる曲だった。終わって休憩のとき女房も同じことを言っていたけど、僕よりは曲に対して肯定的だったようである。

後半はブルックナーの6番。この曲はその前の5番のように説得力あるフレーズも、そのあとの7番のように美しくキャッチーなメロディも出てこない。そのくせ曲の構造はいつものブルックナー節炸裂で、また出ました感がかなり強い。

カンブルランは、メロディを浮き上がらせたり、フレージングを際立たせたり、ということはせず、ブルックナーらしい音響を作ることに集中していたように思える。たしかに音響的には非常に美しくて、例えば第2楽章アダジオ最後の弦楽のピアニシモではみんなが息を潜めているのがわかるぐらい客席全体が引き込まれていたように感じた。弦は明らかにブリテンより艶のある音になっていた。

なにが素晴らしかったと言って、トロンボーンチューバの金管低音4人組。完璧なアンサンブル、迷いのないアタック、心地よい純正和音、そして爆発するようなフォルテシモ、そうだ、これこそがナマで聴くブルックナーだぜぇ、と他人事ながら言いたくなるような演奏だった。ホルントランペットも悪くはなかったけど、特にこの4人組の演奏はホレボレするほどだった。終わってからブルックナーの交響曲をあまり好きではない女房も結構喜んでいた。

早い目に始まったので9時には新橋まで帰り着いて、改札すぐ出たところの坦々麺がウリの小さな中華料理屋でその坦々麺を食べた。スムーズかつ濃い練りゴマのスープが旨かった。僕にはもうちょっと塩気が少ないほうがよかったけど。
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