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日曜美術館「井上安治」 [日常のあれやこれや]

今夜の再放送は「日曜美術館▽東京の原風景~夭折の絵師・井上安治が描いた明治」だった。井上安治を僕の知らない作家だったけど、見てもなんだか何も起こらない絵だと思った。はっきり言って退屈だった。

番組の中で彼の師匠の小林清親が描いた風景を、その同じ場所で安治が描いたものが何点かあって、杉浦日向子がその比較をしている本が紹介されていた。

清親は手前に大きく人物が配置されたり、遠くには雷や入道雲が描かれていて、僕が安治にはないと思った「ドラマ」が描かれている。ところがそれがどこかとってつけたようで、なんと言っていいのか、なんとなく嘘っぱち感のある絵になっている。

番組では、杉浦が自らそれぞれを模写しながらどっちがいいとか言うことはなくただ即物的にこっちはこんなだがこっちはこうなっている、と彼女の本の中で淡々と比較していたことが紹介された。安治も清親も彩色版画だけど、杉浦の模写はペンか筆のモノクロ。模写は精密ではなく大づかみなものではあるけど版画特有のテクスチャが丹念に捕らえられていたりする。

数行のコメントを書くために両方の特徴を捉えて比較する模写をわざわざする手間を厭わないのは彼らの絵に対する愛情の現れのようにも思える。それもあるだろうけど、言葉による以上の的確な比較のための手段だったんだろう。杉浦の批評眼の深さを改めて知った。

清親も安治も僕の好きなタイプの画家ではないので、今夜の日曜美術館をみた後はスルーでそのまま忘れてしまうだろう。一方で、番組の中ではひとつのエピソードくらいの扱いだった杉浦日向子は僕にはすごいと思えた。日本人は一億人いるのにそのなかで杉浦ただ一人しか持ち得なかった視点というのがあって、彼女はたった一人でそこにたどり着いて、しかもそれを的確に表現する手段を持っていながら、別にそれがたいしたことない、とでも言うように、まるで日常の出来事のように淡々と表現していたということをこの番組で初めて知った。

漫画家としての杉浦日向子を僕はすごく好き、というわけではないけど、ああ、僕もこうありたい、とつくづく思った。

もちろん、僕には全然もう遅いけど。
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HelenSkink

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じゃあまたね ;)

by HelenSkink (2018-05-21 10:54) 

decafish

このコメントもロシアの悪いお友達関連でしょうか....
by decafish (2018-05-22 07:10) 

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by kuhninazakaz.info (2018-05-22 16:09) 

decafish

お前ら、井上安治を知ってるのか?
小林清親の版画を見たことがあるのか?
杉浦日向子の漫画を読んだことがあるのか?
杉浦の描く、現代の日本人でさえ理解できないような、江戸時代の人々の機微を知った上でここに書いてるのか?

当然、そんなわけないよな。

僕は書かれたコメントを意図的に消すということはしない(同種のブログの平均に比べて明らかにコメントが少ないから、というわけではない。そういうとこころで張り合ったら太刀打ちできないことぐらいはわかっている。まあ、「負け犬の遠吠え」と呼んでくれい)。

ここに無関係なコメントを書くと言うことはすなわち「私はヒット数だけを狙うアホです」と自ら表明していることだと理解しなさい。

しかし、それをロシア語で書かないと初めから伝わらないよな。

いやそもそもその前に、いくらこんなこと書いても結果は同じなんだよな。ロシア人が悪いんじゃない、こんなわずかなところもカモにしようというセコい動機がネットに蔓延してるということだよな。

中島らもの「性アホ説」こそが真理だなあ。らもが復活したら全てを投げ打って帰依する覚悟があるのになあ。
by decafish (2018-05-23 20:55) 

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