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日曜美術館再放送「岸田劉生」 [日常のあれやこれや]

今夜の日曜美術館再放送は岸田劉生だった。劉生はすごく好き、というわけではないけど強烈なインパクトを感じてついつい気になってしまう。番組でも取り上げられていた「道路と土手と塀」なんて、こんななんでもない風景に、なんでざわざわとした感じを持ってしまうのか全然わからない。でもそれこそが劉生の面白さだろう。

有名な「麗子微笑」も、はじめてみたときはデッサンが破綻した異様な絵に思えて、劉生の愛娘のはずの麗子をこう描くのには、なにか麗子本人かあるいは彼との関係に問題があったのではないか、と勘ぐってしまった。

絵のディテールのそれぞれをよく見ると、案外ごく自然に見える。ディテールにこだわりすぎて全体としてはちぐはぐになった素人の絵はよくみかけるけど、その手の絵にはない何か惹きつけられるものがあるのは誰でも感じるところだろう。

しかし、この番組では専門家たちの語る劉生の絵に対する言葉がどこか的を射ていない、言葉を重ねるほど遠ざかってしまう、隔靴掻痒というか、そういう風に聞こえてしまった。逆に言葉の届かないところに劉生のなにかがあってそこに惹かれてしまうのか、と思ってしまう。絵画や音楽や、あるいは言葉で書かれているはずの小説の中の、言葉で語ることのできない部分に僕はいつもすごく惹かれる。

番組では会田誠が劉生を素直に語るとは思っていなかったのでそれは面白かった。

ちなみに、僕の友人が「麗子像」のパロディを一連の漫画に描いていて、それが格調高いんだか低いんだかわからないんだけど笑える。個人の趣味として描いたものなので公にできないのが残念である。
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