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死んでません [日常のあれやこれや]

このブログを2007年から始めて、長くて震災時の数週間しか間をあけたことがなかったんだけど、今回は2ヶ月を超えた。このブログを見てくれていた皆さん、ジジイなせいでコロナで死んだか、と思ったかもしれませんが、残念、生きてます。

この4月後半から今の会社で「テレワーク」になってずっとうちに引きこもって仕事してた。出社しないとこれまで通勤に費やしていたほぼ1日に2時間半が自由な時間として手に入ったので、低プライオリティでやろうと思っていたことをこの時間を使ってやろうと思った。うちには光学定盤はないのでやりたいと思っている実験はできないけど、計算ならできる。ということで、20年近く前の昔、光ディスク用のレンズをやってた頃、できるのではないか、と思いながら忙しくてできなかった計算を思い出してやることにした。

やり始めていきなり進捗があって、20年前のもやもやが解決した。やったじゃん、その後いくつかの拡張が思った通りに解決して、そのたびに会社にレポートとして報告をあげた。他のみんなにはどこがすごいのかわからん、なんて言われたけど、ひとりで盛り上がって日中ずっと計算を続ける、というのをこれ、発表したらみんなぶっ飛ぶぞ、と思いながらほぼ2ヶ月続けてきた。ずっとほとんどランナーズハイ状態になってた。

計算と並行して同じことをやってる人はいないか、とGoogle scholarページを徘徊して回った。前の会社では論文入手に金を払うという意識がなかった。それは部署が多くあって経費としては薄まってただけで、ちゃんと必要な対価を払っていたんだけど、今の会社ではそういうわけにはいかない。限りなく黒に近いグレーだけど手に入らない論文はSci-Hubの生き残りサイトのお世話になった。さすがに2019年以降の新しい論文はロハでは手に入らない。しかし僕が探す限り同じようなことをしてるのは見当たらなかった。これはひょっとしてやったんではないか、と思っていた。

はじめのアイデアを拡張し続けて、先日かなり一般化された表現にたどり着いてひと段落だと思った。同じような結論を得ている論文は見当たらなかった。いくつか、より一般化された表現とか、計算手法とかに言及しているものがあったけど、僕が見る限り「帯短たすき長」という感じだった。さて、どこに発表しようか、と思い悩んでいた。

ところが先日、その一般化された表現の式をいじっていて、あることに気がついた。僕がたどり着いた式が実はもう70年も前の、ある非常に有名な論文に載っている式と、表現は違ってるけど物理的には等価だということが分かった。出発点は違ってるんだけど、結論は同じになったということで、まあ、やりたいことは同じなので最終的に同じになるというのは、別の登山口から山に登るようなもので全然あることだろう。でもさすがに僕はショックで真っ青になった。僕の悪い癖である「車輪の再発明」を2ヶ月かけてやってしまった、ということだった。

僕はたどり着いた式に従って数値計算できるコードも書いた。これに関係する普通の人はZemaxやCodeVなんかの最適化ソフトウェアを使うけど、僕のコードはそれとは無関係にもっと手っ取り早く、というかどんな条件でも100msecで、しかも最適化よりずっといい結果を得ることができる。

なんでみんな70年も前に結論された式を使ってないんだ?僕は2ヶ月もかかったけど、それを知ってれば誰でもできるじゃん。なんで誰もやってないの?それともみんなやってて僕が知らないだけだったの?前の会社ではこれを仕事にしてるひとは僕以外にもいたけど、誰も使ってなかった。みんながやってれば僕は「車輪の再発明」を2ヶ月もかけてやらずにすんだはずなのに。なんで???

わからん。「車輪の再発明」は論文にはならないけど、別の何らかの方法でおおやけにして専門家の評価を仰ぎたい。専門家からは「ゴミだ」と言われるのかも知れない。じゃあなんでお前らこれをやらないの?ほんとにわからん。

ずっと一人でランナーズハイ状態からどん底に落ちた感じで、ちょっと、気持ちが落ち着くまで時間がかかる。
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