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冬場の自転車 [自転車]

今日は暖かかったので会社なんか行かずに、自転車で走りたかった。
ここんとこ寒くて、自転車で走ったりすると耳がちぎれ落ちても帰るまで気がつかないのではないか、と心配なので去年の暮れから出かけてない。自転車も部屋の中でホコリをうっすらかぶっている。

以前、仕事の関係でアメリカのある光学測定器メーカまで何度か出張したとき、そこの光学技術担当副社長さんと付き合いができて、彼も自転車に乗るというので話が盛り上がった。彼の会社はニューヨークとボストンのちょうど真ん中あたりの緩やかな山の中にあって、冬は雪が積もったりして自転車乗りにとっては厳しいのに「もちろん冬でも走る」。

ホテルや銀行のある町の中心部の周辺はイギリスの田舎町のような住宅街で、どの家も敷地面積の8割以上が芝生になっているように見える。その家々を縫うようにゆったりと左右にうねりながら上り下りがある道路にはだいたい自転車専用レーンがある。大きな道路同士の交差点以外には信号はないが、自動車も幹線道路でなければそれほど多くないし、歩いている人を見かけることはほとんどない。自転車で走り放題。彼も通勤には自動車を使っているが、休みの日や、天気のいい日は仕事を切り上げたりして走りに出かけると言う。

彼の自転車は筋金入りで、2mを超える身長もあって特注フレームにシマノのデュラ・エースをフル装備。彼の会社の客先の多い台湾への出張があるたびに自費でスケジュールを延ばして新しいフレームの仕様打ち合わせを盛り込んでいると言う。

昔のシマノのスプロケットが気に入らなくて自分で図面を引いて作らせたこともあるという。かといってカンパニョーロは気に入らないらしい。「シマノの方が明らかに技術が上」だという。

彼が財布から写真を取り出してきて僕に見せようとした。普通、家族の写真とかをみんな持ってるけど、彼が出してきたのは一番新しい自転車の写真だった。赤いカラーリングの大型フレームの自転車だけが写っていた。かなり大きく見えるのでシートポスト長でいくらになるか訊いたら680mmぐらいだという。なんだ、僕のFELTと20mmしか違わないじゃん、とそのとき思って「見た感じより小さいね」と言ったけど、後でよく考えたら僕のは560mmだった。120mm違う。驚きのサイズ。そりゃ特注だわ。

お前は何に乗っているのか、と訊くので
「昔はルイガノの安いやつ、今はFELT」
と言うと
「どっちも全然聞いたことがない。そんなメーカがあるのか。どこで作っている?」
「ルイガノはたぶん中国、FELTは台湾。ヘッドチューブに「MADE IN TAIWAN」とアルミのプレートが貼ってある」
「中国製はやめておけ。その台湾製は台湾のどこで作っている?」
「そんなもん知らん」
「お前は自転車の製造技術的な面に対する理解が足りない。フレームマニュファクチャラの選定は非常に重要である」
彼はあまり酒を飲まないがそのときは町のイタリアンレストランで蘊蓄が続いた。

今週も彼は走っているのだろうか。今頃きっと寒いぞう、Middlefieldは。


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