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サティのピアノ曲のギター編曲 - できました [ギター]

こないだ話だけで終わったサティのピアノ曲のギターへの編曲、できました。せっかくnice!をもらったのに、仕事が忙しくてそのままになっていたので心苦しかった。見てくださいね。

サティのノクターンの第3曲をギターソロに編曲した。ずいぶん前から温めていたもので、それほど無理ない編曲になったと思う。でも、やっぱりギターで弾くとサティの無色透明な感じは薄らいで、ニュアンスがちょっと変わってしまった。

前回書いたように、サティのピアノ曲は「実験」だと思う。ノクターンは3曲+2曲の合計5曲あるけど、とくに第2曲と第3曲はサティ屈指の名曲と言っていいと思っている。さてノクターンはというと「3度抜き和声実験」。

ノクターンの5曲全曲がそうだけど、第2曲と第3曲は和声が線的で普通の3度重ねの和音がほとんど出てこない。このこのふたつのノクターンはどちらも主部は2声で書かれていて、ふたつの声部は

  • 長2度
  • 完全4度
  • 完全5度
  • 短7度
以外の音程をとることがほとんど無い。普通は調性をはっきりさせるために3度や6度の和音を使うけど、これらの曲からはその音程は完全に排除されている。

3度や6度がないとどうなるかというと、スケールははっきりしているのに単調とも長調ともつかないあやふやな印象になる。古くはベートーヴェンが交響曲の9番の冒頭で3度の音を抜いた響きを使ったことや、モダンジャズのモード奏法という4度重ねの和音なんかと音色や効果の目的はよく似ている。

また、短2度や長7度も全く出てこない。これらの音程は和音を色づかせる。サティはジムノペディで長7度実験をやって、これは「サティと言えばジムノペディ」というほど成功した。

ノクターンではそれらのどれとも違う、積極的なたそがれ、とでも言うような不思議な雰囲気が支配する。いつもサティの音楽には言葉がまとわりついているけど、ノクターンには少ない。言葉の着物を脱ぐとサティの音楽は無色透明で美しい(自分では「白い」と言っていたらしいけど白ではないと思う)。

ということで、ギターでも弾いてみましょう。サティのノクターン第3曲。ピアノよりもずっと難しくなったような気もするけどこれはこれで面白いと思う。

でも技術的な問題からどうしても音を省略しなければいけないところがあって、そこでは3度の響きができてしまったところもある。ちょっと残念だけど仕方がない。

いま、これとは別に同じ曲をギターの2重奏に編曲している。こっちの方がピアノのニュアンスに近くなる。それにちょっと弾きやすくなる。出来上がったらまたアップしよう。2重奏なら第2曲も技術的な問題が減るせいで編曲しやすくなる。可能性あり、だけどもう誰かがやってるかも。

楽譜のpdfファイル。サティが譜面に書いた言葉は、発想記号も含めてあえてすべて削除した。

追記:
「音楽の実験」というのはいわゆる「実験的な音楽」ではなく、純粋な環境を整えて現象を観察する「物理実験」などと同じ意味。


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たこやきおやじ

楽譜ダウンロードさせていただきました。少し弾いてみたいと思います。
by たこやきおやじ (2008-09-01 09:36) 

decafish

decafishです。ありがとうございます。
ご感想などもお聞かせいただければと思います。
by decafish (2008-09-01 21:33) 

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