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「戦後SFマンガ史」読了 [読書]

米沢嘉博著、ちくま文庫。
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文庫の新刊だったので買ったけど、ハードカバーは1980年に出たもの。内容はかなり古い。

「前史」と「終章」以外は1947年から1979年まで各年ごとに雑誌に掲載されたSFマンガをリストアップして特徴的な作品を取り上げ評論するというスタイルをとっている。リストの最初にはその年に創刊、あるいは休刊した雑誌と、SFに関係あるテレビ放映、映画、小説が一緒にリストされている。

僕は1956年生まれなので貸本時代などの最初の方は知らないけど、60年代の初めのあたりから知ってるのが出てきて懐かしい。月刊誌の「少年」に連載されていた「鉄腕アトム」は覚えているし、週刊誌の「少年サンデー」は創刊直後からお小遣いで買っていたことを思い出す。

「サブマリン707」をどう読むのかわからず「ななひゃくなな」「ななぜろなな」「ふろふ」とか読んでいた。「オバQ」の段ボール箱で秘密基地を作る話は真似したくてしょうがなかった。「スーパージェッター」のかおるさんのスタイルが色っぽく思えてどきどきした。「バンパイヤ」のロックは大嫌いでなんでこんなマンガを描くのだろうと思った。昔話になるときりがないのでもうやめる。少年サンデーはその当時一冊30円で、ときどき(年末年始の合併号など)35円だった。

評論の内容は、マンガ評論としてはどうしても夏目房之介と較べてしまうせいで、抽象的に見えてしまう。マンガの評論は絵を見ずに理解することは難しい。でもあまり趣味に偏らず混沌とした状況をそのまま伝えようとしていることはわかる。

面白かったのは、手塚治虫が先鞭をつけた分野や技法が、すぐ他の作家に取り入れられ、手塚は結局その動きに取り残されてしまう。そういったことが何回かあったということがわかる。不幸と言うべきか、不思議な才能だったということか。

章の扉絵を吾妻ひでおが描いていて、これがくすっ、と笑えていい。

リストを見ながら、もっと古いと思っていたり、ずっと後だと思っている作品が結構あることがわかった。そういう資料的な価値は高い。


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