芸術劇場「ラン・ランとアンスネス」 [音楽について]
先週金曜日、3月6日のNHK教育テレビの芸術劇場はラン・ランとアンスネスのピアノをやってたので録画した。それを見たら時間配分はラン・ラン3に対してアンスネス1の割合。人気とか話題性とかに比例するとそうかな。
ラン・ランをはじめて聴いたとき(確かショパンの録音)はテクニッがしっかりしていて、その上どこかキラメキと言うかしゃきっと立った感じがしたのを覚えている。
今回のラン・ランはシューベルトの長いソナタを豪快に、バルトークのとんでもないソナタをピアノも壊れよとばかりに弾いて、ものすごいテクニックを披露した。
でも、はっきり言ってかなり大味。あとのアンスネスもドビュッシーを弾いたので聴き較べるとラン・ランは表面的な効果に頼った感じがしてしまう。それとなによりもフォルテの和音の音色がべしゃべしゃした感じで、先端まで神経が行き届いている、という音にはあまり聴こえなかった。最後のショパンは、なんか疲れが出た感じでリズムがルーズで、装飾音風の32分音符なんかの細かい音が、左手の破裂するような音に溶けてしまってなにを弾いているのか聴き取れなくなってしまう。
アンスネスの方はずっと繊細で集中力があった。ヤナーチェクは陰影が深かったし、タッチも透明感があって美しい。前半のラン・ランの指が重く聴こえてしまう。そのあとのドビュッシーはすばらしかった。先にラン・ランを聴いてその印象が残っているせいもあるけど、左手が曇らなくて、芯のある音色で聴きやすい。ラン・ランと違って和音もカチッとした音色で小気味よい。
若々しい(本当に若いけど)ラン・ランと較べるとアンスネスはまだ40前だというのに妙におっさんくさい外見のうえに動きももっさりしていぱっとしない。でも音楽はなかなかで、これからが楽しみ。
ラン・ランもまだ若いので音楽産業に消費されてしまわないようにしてほしい。
私もラン・ラン、この放送ではないと思いますが何か録画していましたので聴いてみます。(^^;
by たこやきおやじ (2009-03-10 09:41)
コメントありがとうございます。今回聴いたラン・ランはちょっとこれではヤバいかな、という感じがしました。これは一般的な評価とは違うかもしれません。ほんとうは実物を聴いてみたいのですが....
by decafish (2009-03-10 22:52)