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クレーの展覧会 [日常のあれやこれや]

ちょっと前の話になるけど、先週うちに帰ったときに女房とふたりで東京の近代美術館でやってるクレーの展覧会に行ってきた。クレーは僕が高校のときにハマった画家。
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クレーは日本では人気があるらしくて、これまで10年に一回ぐらいのペースで大規模な展覧会があった。僕はたぶん今回で4回目。作品の数も多くてほとんど同じものを見たことがない。今回も初めてみるものがいっぱいだった。

小学校から中学校にかけてシュールレアリズムの絵が好きで、立派な画集を持った裕福な友人のうちに入り浸ったりしていた。まずダリ、それからマグリットデルヴォータンギーキリコがお気に入りだった。

なんでそんなことになったのかよく覚えていないんだけど中学の卒業文集の中で僕がクラスの扉絵を描くことになって、タンギー風のぶよぶよしたよくわからないものが地平線の向こうまでいっぱい浮かんでいる絵を描いた。文集ができあがってしまってからクラスの連中から差し替え要求の嵐が起こった。他所のクラスの表紙は生徒の似顔絵だったり校舎の写実的な風景だったりした。僕としてはモノクロのガリ版刷りだったけどハッチングで丁寧に明暗をつけた力作のつもりだった。

高校に入って父から兵庫県立近代美術館の只券を貰ったのがクレーだった。当時出来たばかりの美術館のこけら落としだったと思う。弟と二人で見に行って完全にハマった。理知的に冷めた表情、技法の実験、ドライでシャープな線と柔らかい色彩の組み合わせ、まるでぽんと偶然に置いたかのような色と計画的にちまちま小さい四角を並べて色を塗ったのとが同居する画面、そしてなによりなぜか画面から音楽を感じる。それだけはクレー以外にはない。高校1年のころは何かにつけ真似していた記憶がある。提出のなかった世界史のノートの3ページ目以降は天使の線描がいっぱい描いてあった。

今回の展覧会はクレーが切ったり貼ったりして新しい作品を作ったという過程がわかるように展示されていた。女房と二人で「やっぱり出来がイマイチのを切ってるよな」と笑った。でもそれ以外に初めて見るすごいのがいくつかあった。文字のように見える黒い線で描かれた山腹の森林、泥絵の具のマチエールが驚くべき効果を持って描かれた人物、迷路のような緻密でリズミカルな線で描かれたゴルゴダのイエス、微細な毛が生えているような人物のカーニバル、内部から発光しているかのような赤い色のかたまり。

今でもクレーを見ると真似したくなってしまう。もちろんやってみればほど遠い結果にはなるんだけど。
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