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ちょっと不思議な話 [日常のあれやこれや]

今日ちょっとしたきっかけがあってふと、思い出した、不思議なような、なんでもないような話....先に言っとくけどオカルト話ではない....

子供の頃、夜は弟とふたりで8畳の子供部屋で寝ていた。子供部屋は南側に窓があって、東を枕にして布団を敷いていた。西側の足元の方は襖になっていてその上に書だかなんだかが架かっていた。たぶん5、6歳だろうと思うけどある夜、ふと目をさますとその書が入った額がのっかっている額座布団の片方がうすぼんやりと明るいのに気がついた。こんなふうに。

0328額座布団.jpg

何なのか気になってよく見ようと起き上がって近づいたんだけど、手が届かなかった。ほんの少し明るくなっているだけなので、近づくとかえってよくわからなくなった。そのまま何年も経って、でもそのうすぼんやりあかるいのは変わらなかった。

ある夜、意を決して夜中に木の踏み台をその下に持ってきて詳しく眺めてみることにした。額座布団の上に手をかざすと暗くなるので、確かに光が当たっているということがわかった。その光がどこから来るのかと追いかけてみると、窓の桟をかすめるように入ってきている。その方向を見ると、15mほどさきの道路の隅っこに立っている常夜灯だった。その青白い光が立木の枝分かれした脇を通って、隣家の壁と雨樋の隙間を抜けて、たまたまほんの数cmの小さな丸いスポットライトのようになって、額座布団のまわりに当たっているのだった。

なあんだ、そんなことだったのか。もっと神秘的なことを期待してたのでちょっとがっかりしたけど、たまたま小さく丸く抜けるというのはすごく珍しいことのように思えた。

大学に入って京都で下宿暮らしを始めた。狭い四畳半の部屋で東側にしか窓がなかった。そこでも東を枕にしていたんだけどある夜、西側の長押(なげし)に丸くて小さく明るい部分があることに気がついた。手をかざすとなくなる。来る方を調べると窓枠をかすめるように光が入ってきている。外を見てみると何本もある植木の間がたまたま小さく抜けて、その先に常夜灯があった。

珍しいことだと思ってたのに、また似たようなものを発見した。案外こういうことはよくあることなのかもしれない、と思い直した。

あとになって何かの拍子に父親にその話をしたことがあった。すると父親は、それはたまたまそうなったのではない、それはご先祖様がちゃんと見ているぞ、というしるしをお前にでもわかるように付けたのだ、と言うのである。見守っているぞ、悪さをするなよ、という主張らしい。

就職や結婚で何度か引越しをしたけど、そのあとはそういう現象を見かけなくなっていた。もうおとなになったから、ということだろうと思っていた。また、光学屋になったおかげで、遠くで小さく蹴られた光はどんな形の蹴られ方をしても回折によって丸くなるということを知った。

去年まで単身赴任で仙台に7年間暮らした。仙台駅から歩いて10分ほどの新しい貸しマンションの3階の1Kだった。南側はサッシになっていて道路を隔てたお寺の墓場が見渡せた。南を枕にしてベッドで寝ていた。足元の側の天井の白い石膏ボードにまた小さな丸いあかりを見つけた。南側の道路の反対側の歩道を照らす常夜灯の光が上向きにも少し漏れて、遮光カーテンのヒダの上を抜けていた。カーテンをレールの奥まで引くと光は来なくなるけど、カーテンから手を離すと自重ですこし垂れて隙間があいて、丸く天井を照らすようになっていた。

もうご先祖様に見守られなければならないような歳ではないんだけど...
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