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エリザベートセミファイナルを聴く [クラシック]

ここんとこ女房と晩飯を食いながらエリザベートコンクールのセミファイナルの録音を毎晩のように聴いている。今年はバイオリン部門でコンクールでの音がアーカイブされていつでも聞けるようになっていて、ベルギーのテレビのサイトでは動画として上がっているらしい(でもデータレートが細くてブツ切れになる)。昔から考えればすごいことだ。

やっぱり若い演奏家の音楽を聴くのは面白い。コンパルソリになってるイザイのソナタは超名曲だと僕は思うんだけど、率直なまじめさの中にパロディや皮肉や遊びみたいな要素がぷつぷつと香辛料のように含まれていて、二十歳代前半の若者には表現しきれないのか、そういう部分を置き去りにしてただの辛気臭い曲にしてしまうのがかなりの人数いるのも面白い。しかし僕の世代の言葉で言えばみんな「バカテク」ばかりで、それだけでびっくりしてしまう。

課題曲のひとつで「カルメン」をネタにした僕のよく知らない曲は、演奏技巧的にはすごいのかもしれないけど、イザイとはまったく正反対の、音楽的には「カス」と言っていいくらいまったくしょーもない表面的な曲で、僕にはこれを選曲した時点でその出場者はアウトに思えてしまう。いや、イザイの内省的な独白のような曲の後に聴くからよけいそう感じてしまうのかもしれない。また、コンパルソリのもうひとつの現代曲は、バイオリニストそれぞれの解釈の幅がすごく大きくて笑ってしまうぐらい面白い。

それと、ピアノ伴奏のレベルに大きな差があることにも笑ってしまう。聴いててへたっぴでやっつけ感満載の伴奏者がいるかと思うと、別の伴奏者はちゃんと音楽をまじめに作ろうとして、主役のバイオリニストがかすむようなのもいる。もちろんコンクールなので審査員はそういうところに評価の差を出さないようにするだろうけど、演奏には大きなの差があるように聴こえてしまう。

まだセミファイナルに残った全員を聴いてはいないんだけど、さっき聴いた24才のトーマス某君は大家然とした演奏で頭ひとつ飛び抜けていたように思える。若者らしい初々しさがなくて可愛げないとも言えるけど。

来週にはファイナルのコンチェルトが始まるらしい。しかし、1ヶ月もこんなことを続ける必要があるので、コンクール出場者も大変だけど、審査員も大変だわ。つくづく体力勝負だな、と思う。
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