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オスモヴァンスカ、ミネソタ管 [クラシック]

今日のお昼間、たまたま女房がインターネットラジオで鳴らしてたヴァンスカとミネソタ管弦楽団のベートーヴェン交響曲7番のライブの実況を聴いた。遠いアメリカミエアポリスでの演奏がほぼリアルタイム(せいぜい1秒程度の遅れ)で聴けるなんて素直に驚いてしまう。インターネットってすごいな。ただし、もちろんリアルタイム音声圧縮なので音はそれほど良くはない。でも僕は「ハイレゾでなければ聴く気がしない」なんていう、思考力が圧縮されたようなやつみたいなことは絶対言わないので、音楽がわかるレベルであれば全く問題ない。

僕の昔のイメージではミネソタ管なんてド田舎の下手くそオーケストラだと思ってた。ところがとんでもない、その演奏がまったく素晴らしかった....

すっきりとした透明感のある音色、少ないビブラートの弦、しゃきっとしたリズム、アタック感があって動きがはっきりわかる低音、トゥッティでもピアニシモでも高い制御性、などなど聴いていて気持ちいい。すべてがにこやかにわだかまりなくメリハリよく通り過ぎていく。単なるお祭りの狂騒ではなく、はっきりと覚醒した意識のもとで儀式が進行していく感じ。おそらくどっちかといえば楽団の人数は少ない(たぶん第1ヴァイオリンが6、7人)構成でそのせいでよけい見通しがいい音色になってる。いや、7番は本来こういう演奏でなければいけない、と僕は思う。こういうの、僕は大好き。

演奏が終わるとおばちゃん声のアナウンサが会場の様子を描写してたけど、それによるとスタンディングオベーションが起こったらしい。クラシックのコンサートでは珍しいけど、こういうのは土地柄にもよるのでなんとも言えない。でも、終演後の会場の音を聴いてるとお客さんはずいぶん喜んだらしいことは伝わってくる。

夕方になって女房が収集したヴァンスカ・ミネソタでのベートーヴェンの録音を聴いた(ちなみに女房はヴァンスカがお気に入りらしく、去年は読響とのコンサートに亭主を置いて一人で行ってた)。録音は10年近く前なので結構古いんだけど、特徴は同じ。観客なしのホール録音だと思われるけど残響は少ない目で、でもドライな感じではない。ライブではないせいか、さらに制御性がいい。トゥッティでフルートやホルンが突出したりしないし、そのひとつひとつの音に強弱を変えた表情をつけていたりして、しかもそれが嫌味でなくそれぞれ納得がいく。それでいて動物的な運動の快感もある。録音技術もけっこう上手い。案外、綿密に設計された音色だということがわかった。

女房が「表情がホグウッドに似てるところがある」と言ったけど、たしかに僕もそう思った。ホグウッドは近所のセントポール室内管弦楽団を振ってたので共通のメンバがいる可能性もある。僕はホグウッドが好きだったのでそのせいもあって音色に惹かれるのかもしれない(ホグウッドはこないだ死んじゃったけど)。

でも、こういう演奏は日本のいわゆるクラシックファン(評論家含めて)の嗜好には合わないような気はする。おそらく「アメリカらしく冷たい」とか言いそうだ。でも、そんなことはどうでもいい。僕は陰ながら応援するぞ。「ド田舎の下手くそ」と言ったのは謝罪して撤回するぞ。がんばれヴァンスカ、がんばれミネソタ。

「きぐしねくてやんだおら」

...なんか、ずっと前にも同じことを書いた気がする、しかも何度も....
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