エマーソンSQ「ショスタコーヴィチ全集」 [クラシック]
先日買ったエマーソンSQのショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全集を一通り聴いたので感想。
そして、その前に持っていたルビオSQとの比較。
ルビオと比べるとなかなか面白い。
エマーソンはショスタコーヴィチのSQを、老大家の古典的名曲のように聴かせる。ルビオは全然逆で、まるで商店会の親父グループの四重奏団が、同じ商店会の八百屋の留さんが書いた四重奏曲を演奏しているよう。
エマーソンはショスタコーヴィチの古典性を強調して、ルビオは異形性を強調しているように聴こえる。どちらも間違ってはいないけどね。
だから7番はルビオの方が笑えて面白いし(7番大好き、最高!)、8番はエマーソンの方がショスタコーヴィチの言いたいことを言い尽くすかのように聴こえる。
どうしても、エマーソンの方がピアニシモがいいし、ルビオは内声(第2とビオラ)が弱いので印象としてはエマーソン→名演奏、ルビオ→へたっぴ、みたいになりがち。
しかし、ルビオの方が曲に対する共感が伝わってくるし、エマーソンは屈折した曲の捉えどころを教えるような理解力が伝わってきて甲乙つけがたい、少なくとも値段なりではない、と思うがどうだろうか。
やはり読みこなしと演奏技術ではエマーソンの方が鼻ひとつ上なので、15番のような曲では差が開いてしまうのは致し方ない。
何が凄いと言って、エマーソンはこの出来でライブ録音なんだよなあ。曲によっては最後に拍手が入っている。なぜかないのもある。制御された環境だとは言え、ライブのいいバンドはやっぱりいい、と思う、ジャンルを問わず。
余談ながら、ショスタコーヴィチの四重奏は面白い。結局、弦楽四重奏曲ってモーツァルトハイドンがちょろっとあって、ベートーヴェンの登り詰めるような16曲があって、その次はいきなりバルトークでその後と言えばこのショスタコーヴィチになってしまうんでないかい。案外レパートリ狭いねえ、とてつもない名曲ばかりやけど。
しかしなんでアルバンベルクSQがショスタコーヴィチ入れないんだろ。ベートーヴェンもバルトークもすごい出来なのに。嫌いなのかしら。その昔、アルバンベルクSQがサントリーホールに来たときブラームスで寝てしまったが(頭がかっくん、となって隣で聴いてた女房が慌てて支えた、と言う)、ショスタコーヴィチやれば跳んで聴きにいくのに。
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