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「楽園の日々」追記 [読書]

読んで気になったことをふたつばかり追加。

フロントプロジェクション

映画「2001年」で使ったフロントプロジェクションの方式はマレイ・ラインスターが特許を持っていると言う。ほんまかいな。「2001年」で「食事をしている豹が、殺したばかりのシマウマから顔を上げて振り返るとき、使われている原理のヒントが得られることだろう」と書く。そのヒントとは豹の目がこっちを向いたとき文字通り「キャッツアイ」になって煌々と光っている(豹はネコ科だったよな)というこのなのか。

クラークの3法則

というのを彼は言っている。それは

第1法則 - 著名だが年配の科学者が、何事かが可能だと言えば、
それはまず間違いなく正しい。
しかし彼が不可能だと言えば、たいていの場合は間違っている。
第2法則 - 可能性の限界を知る唯一の方法は、
それを超えて不可能の段階に入ることである。
第3法則 - 十分に進歩した技術は、魔法と区別できない。
第1法則は年寄りのコンサバを笑う冗談(しかもクラークが実際に遭遇した多くの言動の例もあって)みたいなもんで、また第2法則は禅問答みたいだけど当たり前のことを言っているにすぎない。しかし、第3法則はまるでカーゴカルトを当然視しているように僕には聴こえて、ずっと気に入らなかった。

この本でその第3法則を言い直している。「未来は本質的に予測不可能である」という。おお、それならわかる。さらに「誰も『サイエンスフィクション』を定義できなかったことを説明するかもしれない」という。「その境界はたえず動いているのだ」ともいう。おお、その通りだ。その見えざる境界を越えて見ようとする視点がSFそのものだ。

もし最初からその意味で第3法則を言ったならすごい。カオス理論を大胆に演繹したとも見なせる。最近の創発エヴァンジェリストたちからはついぞ聞いたことのない話。もちろんエヴァンジェリストとしては自己否定に繋がるから当然とも言えるけど、クラークは実体験からこれにたどり着いた。

さらに、どのページに書いてあったのかわからなくなったので正確な引用ではないけど「SFは読者に思考を強いる」形式であると言う記述が確かあった。SFにとって重要な特徴であると同時に、それは本来文学の持っている機能だったはず。SF者たるもの、このことを忘れてはならない。クラークはSFの原点だった、と言うことを僕に気づかせる本であった。


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