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芸術劇場「スカラ座のマリア・ストゥアルダ」 [音楽について]

15日夜NHK教育でやってたのを録画してあって、それを見た。
もしドニゼッティが好きなら、残りは読まないほうがいいと思う。

イタリアオペラって実はほとんど知らない。今回のはスカラ座(日比谷の映画館じゃないよ)でやった「マリア・ストゥアルダ」というドニゼッティのオペラとのこと。スコットランド女王メアリ・スチュアートとイングランド女王エリザベス1世の話で、初演は直前にキャンセルになってあらためて翌年12月にやり直した、と解説があった。

どれほどスキャンダラスなオペラなのか、と思って聴いた。

冗長で緊張感のない、しかもお互い全然無関係な旋律が次々現れては消えていく長い序曲でもう退屈してしまった。RPGの強制イベントに突入したみたいにイライラと終わるのを待った。

本編が始まると、エリザベッタ(エリザベス1世)が状況説明的な独白を続ける。音楽は紋切り型で硬直していて、モーツァルトのオペラに出てくる音楽のようなしなやかさがない。まあドニゼッテイもモーツァルトと較べられるのは不本意だろうけど。

エリザベッタ役は大音量だけどトリルのようなビブラートをずっと使っていて音程のわからない音が多い。イタリアオペラってなんかこういうのだよな。体質的に合わない。顔も白くて恐いし。音程はマリア役のほうがわかりやすい。他のテノールも皆、半音階(と言ってもそのあと半音上がって解決する導音ぐらいしか出てこないのに)が怪しい。2幕に入ってからはオーケストラの音量が押さえられているせいか、音程は全員がおおむね良好になった。2幕1場の終わりの部分でマリア役のソプラノパートには驚くなかれ上の「レ」(ト音記号の上第3間)の音が出てきた。ピッチ440Hzで1.2kHz近くにもなる。非人間的。

はじめのほうのエリザベッタとロベルトのやりとりの場面で音楽は後退する反面、演劇的な効果は高まった。その後の音楽が盛り上がる二人の重唱では、再びロマンチックだけど硬直した音楽が復活する。僕には型にはまりきったアリアよりも演劇的なレシタティーヴォのほうがかえって新鮮な感じがした。

権謀術数渦巻く政治物語のはずが、まるで可哀想なマリアが軟禁状態にもかかわらず男たちに言い寄られて嫉妬した姑にいじめられ、そのあげく耐えられなくなったマリアは手を上げて、「その手をどうするのよ!振り下ろしてみなさいよ!」パン!「やったわね!覚えてらっしゃい!」というような昼食後の奥様向けメロドラマになってる。すごい。このギャップ。2幕2場以降はマリアが断頭台に首をあずけるまでを引き延ばす。手を上げたせいで首を落とされるように見えてしまう話運び。うーん。

舞台ではアリアが終わるたびに観客からブラヴォーが叫ばれていた。好きな人は好きなんだろうなあ。一応最後まで見たけど、僕はもうええわ、こういうの。


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