「スパイダー・スター」読了 [読書]
マイク・ブラザートン著、中原尚哉訳、ハヤカワ文庫。
たいしたことなかった。失敗。
25世紀、人類はどうやら恒星間の距離を超えて移住しているらしい。「アルゴ」は地球から34光年離れた双子座ポルックスの惑星で人類が住んでいる。アルゴには知的に進化した先住人「アルゴノート族」の遺跡や記録があるが百万年前に死に絶えたらしい。アルゴノート族を生んだ生態系は残っていて人類と共存している。動物は足が8本ある蜘蛛のような形をしていてそこから進化したアルゴノート族も同じような外形をしているらしい。
ある日、ポルックスから火の玉が打ち出されてアルゴの月に衝突して表面を溶岩原にする。その後次々と火の玉は打ち出されてアルゴにも落ち、ポルックスの観察からそれ以降も続くことが明らかになる。「天撃」と呼ばれる火の玉は実はアルゴノート族どうしの戦争の名残で、アルゴからさらに17光年離れた「スパイダー・スター」に解決の糸口があるらしいことがわかってきて、調査チームが向かう。
そこまでが前半。舌足らずの表現が多くて読みづらい。「天撃」は人類の月での活動がきっかけになったようだが、惑星を滅ぼすほどの「天撃」を引き起こすにはあまりにも些細な感じがする。「スパイダー・スター」もアルゴノート族の「伝承」に現れるだけで繋がりが細く感じる。
後半は調査チームがたどり着くとファーストコンタクトでいきなり攻撃を受けるところからはじまる。そこからしばらくはアクションシーンが連続する。ここは前半よりマシ。チームのメンバは捕獲されたり逃げ回ったり反撃を狙ったりする。長時間の拘束で排泄に苦労するところが何回も描写されて、妙にリアル。よほど気になるらしい。
最後はとりあえずハッピーエンドだけど、続きを匂わせる余計な話もあって全体的に散漫。SFガジェットにも事欠かないが、目新しいものはない。妙にディテールの整合性にこだわるようなところもあってでこぼこした感じが残る。
チームが目的を果たしてアルゴにほとんど光束にまで加速されて戻る映画的スペクタクルシーンで、暗黒物質をネタに使っているが、これは物理的に納得いかない。著者は専門家らしいが、ひねってくれよ、ほんとに。
ところで、ハヤカワ文庫の本の大きさが5mmほど高くなった。読みやすさが目的だとのことだけど、これまでなかったノンブルと柱がついただけのような気もする。
文庫は横浜近隣に多くある有隣堂でよく買う。お店でもらうOKゴールデンリバー紙のカバーが気が利いているからだけど、このトールサイズには合わない。
うわ、かっこわる。有隣堂さん、対応して。
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