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トイレットペーパーのミシン目 [分類してもしょうがないもの]

トイレに入ってトイレットペーパを見ると、ミシン目が入っていた。これは連続な物理量を量子化する作用がある。量子力学的な現象がマクロに観察されることとのアナロジーに気がついた....

19世紀終わり頃のイギリス。ある製紙メーカに勤務する男が、経営トップにひとつの提案を行った。同社の主力製品のひとつであるロール型のトイレットペーパーにミシン目を入れようと言うのである。

当時は衛生観念が市民階級に行き渡るにしたがって、トイレには古新聞紙のかわりに清潔で柔らかい専用の紙が備え付けられるようになった。製紙メーカはこぞって製品を作り出した。

その男は、そのロール紙の決まった位置にミシン目を入れて好きな長さに切りやすいようにして、使いやすさを増すことでライバルメーカに差をつけようと提案したのである。

経営トップは提案を受け入れ、ミシン目の入ったトイレットペーパは新製品として売り出された。わずかな間に同社のトイレットペーパはすべてがミシン目入りにいれかわったが、ライバルメーカに比べて特に売り上げを伸ばすということはなかった。

製造工程上、ミシン目を入れるとなるとそれを行う専用の工程が必要になった。そのため製造コストは少し増えたが製品の値段を上げるわけにはいかない。同社の利益は減少した。

実は男の提案はもうひとつあった。製品すべてにミシン目が入れられ、消費者がそれに慣れた頃、その会社はこっそりと、ロール全体の長さはそのままでミシン目とミシン目の間隔をほんの少し、具体的に言うと3%だけ長くした。

コストアップになるとしてミシン目を入れずにいたライバルメーカは驚いた。ミシン目入りのメーカの売り上げがある日突然、3%増えた。それまで数社のシェアが拮抗してバランスしていたのに、何も理由もなくその1社だけ増えたのである。

しばらくすると、また何の理由もなくミシン目入りの売り上げが3%増えた。数年の間に4回も繰り返された。一旦落ち込んだ利益率はいつのまにかライバルメーカを逆転し、離れていった投資家が再び戻ってきた。

あせったライバルメーカのある一社は詳細な調査を行った。その結果、かならずしもミシン目入りを使う人が増えているわけではなく、その人たちの使う量が増えているということがわかった。そして倉庫の奥をあさってミシン目入りの初期製品を探し出し、そのからくりに気がついた。最新の製品はミシン目の間隔が初期製品より13%近く長かったのである。

そのライバルメーカもミシン目入り製品を売り出した。ミシン目の間隔が最初のメーカの製品の1/3と短く、長さの調整がより微妙にできて無駄が少なくなる、いうのである。

ところが、そのライバルメーカは売り上げを増やすことはなかった。実は人はトイレットペーパの長さをそこまで正確に決めているわけではない、ということが原因だった。やがてその2社の秘密はおおやけに知られるところとなり、当時のイギリス産業省から業界全体が告発を受けた。そしてミシン目の間隔は規格で決められることになった。

って、話信じる?
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松本ポン太

面白い話ですね。
うまく「操作」されていたわけですね。
by 松本ポン太 (2011-03-27 23:47) 

つるみん

最後の段落で、それはないやろ、と思いました。
それがなければ信じてました。味の素かいな、と。
(売り上げアップのアイデアで、掃除のおばさんが、「穴を大きくしたらええねん」いうやつ)

ばれて告発された、いうとこで、そんなわけあるかいな、と思いました。
だれもそこから切れなどといってるわけではないし、5mm刻みでも1mきざみでも文句いわれる筋あいはない。
「なんやねん?」という、ツッコミングが入るだけで。
by つるみん (2011-04-04 14:54) 

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