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連休中のこと [日常のあれやこれや]

みんさん、連休をいかがお過ごしでしたでしょうか....

こないだお盆休みを返上してやってた評価をまとめて、ありがちだけど致命的なちょんぼをリカバするための新しい設計を連休前に集約しようと思っていた。ところが思いがけず工場に行くことになったり、レンズの曲面を決定する微分方程式の数値積分がうまくいかなかったりして、結局連休に突っ込んでしまった。

その数値積分はもともとは、解析的には書けないけど比較的簡単な常微分方程式で曲面が一意に決まるという、光学設計としては非常に珍しい問題。ちょんぼを考慮するために微分方程式の中にある定数だった(設計条件を決めると値が決まる)パラメータが、その曲面の一階微分に依存するようになった。一階微分そのものは常に負の値を持つ素直なものなので、それも含めて無理やり数値的に解いてやろうと思ったら、あにはからんや、うまくいかなかった。解がどたばたアバれて数値積分の刻みによって全然違う解になったりした。

ちょっと甘かったらしい。結局、最初にそのパラメータが定数だとして方程式を解いて曲面を決めて、その一階微分からパラメータの値の変化を方程式に含めて解いて新しい曲面を決めて、と収束動作で決定することにすると、うまくいった。でもこのために4日要した。

方程式は屈折の式(Fresnelの式)が含まれるので非線形だけど、でこぼこしてないので繰り返し演算でも一様収束性みたいなものが保証されて(数値計算でこういうのってなんて言うんだ?)、3、4回の繰り返しで実際のレンズ曲面加工分解能以下に収束する。これ自身はそこそこ面白かった。やっぱり収束が速いとやってて気持ち良くて、どんなもんじゃ、という気になる。別に僕が偉いわけじゃないけど。

微分方程式の数値解の計算方法はずっと昔から研究されていて、かなりパターン化されている。そういう先人の知恵を無視して勝手にやっても苦労するだけなんだけど、そのパターンは結構細分化されていて、特に非線形性を含む場合、自分の扱う方程式がどのパターンに当てはまるのかなかなかわからない。数値解法も、Levenberg–Marquardtがロバストで汎用的だと思っていたのでなんでもかんでもそれでやろうとしたけど、どうやらいつも最適とは限らないらしい。難しい。改めて奥の深さを知った。

もちろん、連休中ずっとこもって計算していたわけではない。家族で横浜美術館の「蔡國強展」に行ったりした。僕はなんとなく安易な気がするインスタレーションは好きではないので、気乗りがしなかったんだけど、見てみると結構面白かった。白い焼き物で作った繊細な菊の花や細かな葉枝を6畳敷きぐらいに配置して、その上に火薬をばらまいて導火線で爆発させる。後先考えないインスタレーションの典型のような手法だけど、その後に残ったものは最初のただ綺麗なだけの陶磁器の肌触りとは違ったものになる。焼き物の細かな凹凸の陰影の上に、火薬が焼け残ったある種汚い陰影が乗る。

メイキングビデオでは横浜美大の学生が参加していたけど、結構危ない作業に見えた。この手の作家で30年やってるとたまに事故もあって指二本ありません、なんて人もいたと思うので、あまり若者を参加させたくはないように思えた。

女房は、植毛フィギュアみたいな狼の群れが妙にツボだったようで、どうしても写真を撮りたくて自分のiPod Touchのカメラをこっそり向けて警備員に「こらこら」なんて言われていた。

さて、また明日から試作やら何やらが待っている....
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