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とうとうMathematica10を手に入れた [日常のあれやこれや]

Mathematicaをもう二十年以上使ってきて(たぶん自分専用のは2.1から)、前の会社では業務に使うにもかかわらずライセンス購入の決裁が通らなくなってずっと古い6.0を使い続けてきた。会社をかわって本来ならそのライセンスは会社に帰属するものだけど、置いてきたとしても誰も使わず野ざらしになるだけなので、ライセンスを変更した。そのうちOSのバージョンが上がるにつれて6.0の動作にいろいろな制限が出てきて不便になったけど、それでも無理やり使い続けていた。

そのMathematica6.0がOS X10.11 El Capitanでついに動かなくなったので、普段仕事に使っているMacBook ProとiMacはずっと10.10で止めてた。でも設備のホスト用に買ったMac miniなんかはとうぜん10.11がインストールされていてXcodeは7.3になっていて古いのはインストールできない。いっぽう10.10ではXcodeは7.2.1で止まってしまった。まだどうしてもダメという問題は出ていないんだけど、Appleのことなので古いバージョンはあっというまに取り残されてなかったことにされてしまう。開発環境はやはりどうしても最新のOSが望ましい。それに僕はOpenGLと相性が悪いというか、苦手なので、そのかわりにMetalを使ってみたい、というのもある...

そこで10.11が出てからことあるごとに、今の会社のみんなに計算にはMathematicaを使っていることを言外にアピールしてきた。設計用の光線追跡や、光学評価でカメラ画像の解析に「わざと」Mathematicaを使って、会議でも計算過程をMathematicaのノートブックをプロジェクタで「わざと」みんなに見せて、ノートブックを保存せずに閉じるとクラッシュするところを「わざと」見せたりしていた。その昔WWDCでJobsがFlashに対してやったようなことである。

そういう伏線を張っておいて(それが伏線だとわかってもらったかどうかはおいといて)、この会社がいかに僕の計算に依存していて、僕の計算がいかにMathematicaに依存しているか、という資料を作って、従って必要です、という説得の機会を作った。それには量産モデルの光学設計のこの部分、こういう評価のこういう計算、というように具体的に例を挙げた。さらに完結した例としてつい最近トラブル対応したときにやった

「現象把握→数学的なモデル発案→代数計算と大まかな振る舞いの可視化→数値計算→測定データと比較→モデル修正→パラメータ絞り込み→解決」

という手順のどこでMathematicaを使ったかを示して、「この計算がエクセルでできることを示してくれたら、要求を取り下げる」とも言った。当然「できるもんならやってみろ」という意味で、だけど。

そこまでしても、Zemaxの保守費用はしかたないけどMathematicaはなんとなく抵抗がある、というのが社長以下他の社員の感想だった。何百万もする生産管理用の業務ソフトとかだと誰も文句も言わずスルーなのに。

そもそもMathematicaの値段が法外に高いというはあるんだけど、結局はなんでエクセルじゃダメなの、ということらしい。エクセルではできないあるいは効率が非常に悪いというような計算とはどんなものかがどうしても想像できない、ということのようである。後で知ったんだけど、僕が説明用に例として示した、いかにもエクセルではできなさそうなトラブル解決の話は、具体的には何をやっているのか理解してもらえなかったらしい(みんな「ふ〜ん」って言ってたくせに。あれは「なんのこっちゃ」という意味だったか)。

しかし僕が食いさがるので結局、社長以下みんな根負けして「しょうがない、もうじゃあ好きにすれば」ということになった。やたー!うはははは。このあたりは前の会社に比べて無理が通しやすい(前の会社での最後の挑戦の時には説明の機会さえ与えられなくて門前払だった)。

新規にMathematicaを買うとHome Use Licenseが1年ついてくる。これのおかげで仙台から持ち込んだiMacにも同じものをインストールしてHome Editionを買うのを1年遅らせることができる。まあどうせHome Use Licenseは1年後にHome Editionを買わせるためのものだろうから、術中にハマったとも言えるんだけど(昔は何もしなくてもHome Useができた時期があったんだけどなあ。あれは5.0とかだったかなあ)。

これからMathematica10.4のダウンロードをして動くことが確認できたら、あとはMacBook ProとiMacを順にOS X10.10を10.11に上げでXcodeを7.3に上げる、rootlessで動かなくなったLaTeXをインストールし直す(僕は/usrの下は基本的には/usr/local/しかいじってないのでrootlessの影響は少ないと思っている)、他のアプリの動作確認をする、という手順ですな。今週はもうこれで終わったな。

Mathematica6.0の保存ダイアログが動かなくなったのは10.8からなので、この不自由な状態で丸4年も使ってたんだ。苦労したなあ。でも実は、それでもなんとかなる、ってことなのかな。
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コメント 5

Jun Hirabayashi

凄いですね〜。Conguraturation!です!
by Jun Hirabayashi (2016-07-20 21:58) 

decafish

コメントありがとうございます。
なりふり構わず、という感じですが、不便を我慢してまで仕事をするのはやっぱりおかしいですよね。
今、ルンルンで作業してます。
花の子じゃないです。
by decafish (2016-07-21 08:46) 

sato

おめでとうございます。

うちの部署では、私が予算担当になった年になんとか設備に紛れ込ませて導入しました。ネットワーク2ユーザーを導入して数年になりますが、普段使っているのは私だけです…。

必要に応じて、Mathematica でないとできない処理や Excel ではできない可視化をやって見せ、そのときはみんな重宝して使っていても、その業務が終われば元通りです。
Mathematica を使えば、もっといろんな思考実験や可視化ができて、思考の幅が広がるのに、と思うのですが、敷居が高いようで、みんな Excel でできる事だけを Excel でやりたいようです。

最近画像を扱うようになり、ずいぶん前に回折像計算で紹介されていた関数「matrixTakeFourier2D」を活用させてもらっています。
リスト処理の勉強にもなりました。

by sato (2016-07-21 22:37) 

decafish

コメントありがとうござます。
そうですか、僕だけではないんですね。
エクセルのVBAとかに比べてMathematicaが特に難しいというわけではないと僕は思うのですが、合う合わないみたいなのがあるのでしょうか.....
「matrixTakeFourier2D」お恥ずかしい。ほんとに簡単な抜き出しと並べ替えをやるだけの関数です。
Mathematica10が手に入ったので、僕が自分で使っているパッケージをこれから10化するつもりですが、面白そうなのを選んでここで公開してみましょうか。他の人が見て面白いかどうかはわかりませんが。

ところで、MacBookの方は昨日11.11にあげてLaTeXのrootless問題周りも整備できたのですが、さっきからやってるiMacは「あと15分」と出てから30分以上そのままなんですけど....
これってヤバい?
by decafish (2016-07-22 09:50) 

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