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Hentaiムービー [日常のあれやこれや]

日本以外で「Hentai」と呼ばれるジャンルがある。実物ではないアニメなどによるポルノのことで、源流をたどれば日本発の文化であるらしい。日本の国内では「変態」というと全然意味が違うけど、一歩国外に出ると全く別の意味で通用しているという不思議な語である。僕のブログは健全な良い子たちも見ると思われるのでリンクは貼らない。

「Hentai」といえば昔は、セルアニメやフォトショイラストなどのいわゆる「2次元」ものだったけど最近は立体としてモデリングしてレンダリングするという、どう言えばいいのか「2.5次元」みたいなのも増えている。僕自身は興味はなかったんだけど、今日外は雨でうちの中でゴロゴロしていた間にたまたま見たのがなかなか興味深かった....続きは18禁で....

いわゆる3Dレンダリングされたアニメーションは、僕らの世代なら「ピクサー風」といえばピンとくるだろう。トゥーンレンダリングの記号化された絵や動きではなくて、むしろ力学的光学的に正しい、つまり物理的なリアリズムを目指している。こういうのを使ったポルノはその方面に詳しい人なら当たり前なのかもしれないけど、僕は初めて見た。

僕のイメージでは3Dポルノは、なんとなく安直なモデリングと、不釣り合いなアニメ絵の顔つきと、動きは繰り返しばかり(ピストン運動なので自動的にそうなるのはわかるけど)で、見る側が想像力を酷使しなければいけない退屈なものだと思っていた。

ところが今日たまたま見たのは非常に品質が高かった。モーションキャプチャを導入したと思える自然な動き(ピストンであったとしても)、物理演算的な乳房の揺れ、額に流れる乱れた髪や、なめらかな肌や、その上にうっすらと乗る汗の質感の表現、さらに当然のことながら理想的な女体のプロポーションと無理のない自然な姿勢、そしてついに「不気味の谷」を超えたと思える、いかにも現実にいそうな美少女の自然な表情につくづく驚いた。ただし声だけは声優によるアフレコで、まあそれはしかたない。

ポルノが技術をドライブする、というのはその昔のVHSビデオだけではなかったらしい。これなら旧来の「Hentai」アニメファンだけではなく、ごく普通のポルノファンに訴求するように思える。なんといってもプロポーション抜群の超美人とチョメチョメできる(視覚的にだけではあるけど)わけだし、需要さえ多ければ現実には存在しないかもしれない自分の理想が映像化される可能性もあるわけだから。だいたいそもそもポルノなんて実現しえない願望の投影なわけだし。

ところがそうすると現実のAV女優さんたちには困ったことになるかもしれない。彼女たちはありえない願望の体現者として君臨していたはずなのに、その上をいく存在が現れたわけである。理想が実現されると現実の存在は色あせてしまって、このままではほんの数年で、モーションキャプチャデータを取るための女優と、喘ぎ声をアフレコする声優の2業種だけに淘汰される可能性さえあるように思える。



その昔、1960代から70年代にかけてメロトロンという楽器が使われたことがある。ヴァイオリンなどの楽器の音を半音ずつ別々に一本のテープに録音して、そのテープを音程順に並べてそれぞれに再生ヘッドをつけて、鍵盤を押すとそれに対応するテープの音が再生されるという原始的な楽器。これは特にプログレッシブロックと呼ばれるキングクリムゾンやイエスやジェネシスなどのバンドが多用した。60年台後半にスタジオミュージシャンたちが職場を奪うものだとして声明を出すなんていう事態にまでなった。

その後楽器のデジタル化が進み、非線形性を利用した音源やサンプリング音源がごく普通になってスタジオミュージシャンたちの憂いはさらに増している。では彼らのすべてが失業したか、といえばそうではない。デジタル楽器とは違う生楽器の音はやはり重宝されるし、全くおかしなことに60年台メロトロンのアナログに歪んだ音を再現するデジタルシンセなども存在している。

3Dモデリングのポルノも現実のAV女優さんたちにとってはメロトロンのようなものかもしれない。でもおそらくこれから3Dポルノは技術の最先端を取り込んで急速に発展するだろうし、そこからポルノ以外に横展開される技術も出てくるだろう。そういう変化を僕自身は歓迎する。

しかし、若い人たちへの影響を考えるとちょっと気になる。彼らはポルノでは美しいのに現実のセックスは醜い、と感じるかもしれない。僕ぐらい歳を取ってしまうと何であれ現実はすべて醜ものであると達観できるけど、若い人たちをスポイルすることになるのではないかと思うと心配ではある。
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コメント 7

Jun hirabayashi

その動画を見てみたいのですが、一体どうすれば辿り着けるのか、ヒントだけでもお教え頂ければ幸いです。
by Jun hirabayashi (2016-09-15 19:20) 

decafish

コメントありがとうございます。
僕が見たのは著作権的に怪しいアップロードサイトの動画だったのでリンクは憚られます。
その中身でいえば、僕が感心したのはたとえば「アトリエこぶ」というところや「artman」あるいは「HY工房」といったところの作品です(どれもデモムービーはすぐ見られます)。僕には非常に良くできていると思えましたし、表現としてさらなる可能性がある、伸び代があると感じました。
本文に書き忘れましたが「artman」沙織ちゃんの極端に浅い焦点深度の表現を見たときは「これはやられた」と思いました(そのシーンは僕のお気に入りです。本筋ではないですが)。ただしどの作品も粘度高めの流体が流れ出る表現はなぜか「残念」です。
一方でその他のUS製と思われるものは、物理的には正しいかもしれないけど生物学的に無理があるのが多いように思えて好きになれませんでした。

ただし、僕が見て感心しただけで、平林さんから見ると「なんだ、こんな程度か」かもしれません。その場合はご容赦ください。
by decafish (2016-09-15 21:24) 

jun hirabayashi

キーワード提示、ありがとうございます。

> 平林さんから見ると「なんだ、こんな程度か」

なんと、「エロ動画に食いつく」私の名前は、比良場椰子かもしれないし、比良逸かもしれないです。
…以前、メール内容規制を回避するために、H林とか”ピーがピーで”みたいな伏せ文字入れたら、あっという間にお縄にされて、「なんで、メールに伏せ文字使えば大丈夫と思われたのですか?」と訊かれたことを思い出しました。うぅ。
by jun hirabayashi (2016-09-16 14:21) 

decafish

すみません、それは失礼しました。
そういえば落語に「いちはちじゅうのもくもく」という小話がありました。丁稚の手紙は届きましたでしょうか?

ちなみに、僕のお勧めは「ユ○○ンと○ッ○」というのと「○○○カ○○にて」です。「沙織ちゃん」「あおいちゃん」はちょっと動きが硬いですが、どちらも内容が鬼畜なのでこれはこれで気に入りました。
おっと、これではキャラぶれしてる....
by decafish (2016-09-16 17:12) 

jun hirabayashi

いえいえ全然失礼ではないです。むしろ、落語のそれを意識して喜んで書いた感じです。伏せ文字で検索できる正規表現検索サイトが欲しいかも…。
by jun hirabayashi (2016-09-17 00:35) 

decafish

言われて気がついたのですが、Googleだけではなく、いろいろあるWeb検索サイトって正規表現が使えないんですね。知りませんでした。使えるところってあるんでしょうか。
ただでさえ膨大にヒットするのに条件を緩めるのは意味がないということなんでしょうか。

ところでこのやりとりの繰り返しから改めて他の作品も見てみたのですが(残念ながらお金を払ってではなくてむにゃむにゃなサイトも含めてブラウズしただけですが)、いくつか気が付きました。

まずこの分野では1、2年の違いで表現力に大きな差があることです。製作年代を気にしながら見るとここ数年で急速にリアリティが増してでディテールが美しくなっています。やはり技術の進歩というかMooreの法則がこんなところにも効いているということでしょうか。

一方で、技術だけではない、ということ。技術に依存した表現はやっぱり退屈で、いくら物理演算で乳の揺れを詳細にシミュレートしても萌えない、ということがよくわかります。

そして面白いことに、詳しく見てみるとモーションキャプチャを使っているのが案外少ない、ということ。これはなぜなんでしょうか? 動きにリアリティを持たせる手段としていちばん簡単な方法だと思うのですが、例えば一人で立ってポーズを取るシーンはいかにもモーションキャプチャなのに、いざことに臨むと動きを手動で調整しているように思えるような動画が目についてきました。

モーションキャプチャではかえってリアリティが得られなくて、ハンナ&バーベラ風の誇張されてはじめてもっともらしく見えるということかもしれませんが、そうだとすると非常に面白い現象です。

次にどんな動画が製作されるか、というのが気になってきて怪しいサイトを渡り歩く、ということが習慣になりそうです。ただの変態ジジイにしか見えないですが....
by decafish (2016-09-17 20:42) 

Jun Hirabayashi

> ただでさえ膨大にヒットするのに条件を緩めるのは意味がない
データ格納や検索負荷的に正規表現に対応した検索サイトは大変そうですね〜。
by Jun Hirabayashi (2016-09-17 22:01) 

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