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9月16日「マハン・エスファハニチェンバロ独奏演奏会」 [クラシック]

昨夜、女房と一緒にエスファハニというチェンバロ奏者の演奏会に行ってきた。銀座の王子ホールだったので会社が終わると速攻で電車に乗った。また例によって銀座の地下鉄の改札の中で迷った。

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けっこう面白かった...

エスファハニはイラン系の若手チェンバロ奏者で、初来日のときは女房が僕を差し置いて一人で行ってきて面白かったというので、今回は僕も付き合った。前回はバードやリゲティが含まれた意欲的なプログラムだったけど、どうやら意欲的すぎて上野の小ホールに百人も入らなかったらしい。今回は現代物はナシで、ダウランドと同世代の作曲者のバージナル作品、クープラン、それにバッハのフランス組曲の4、5、6番だった。今回はほぼ満席だった。僕はリゲティとかも聴いてみたかったのでちょっと残念。

王子ホールは三百席ほどの小さなところだけど、それでもチェンバロの音はしょぼくて聴き取りにくかった。最初にやったイングランドのバージナルは、A-A'-B-B'-C-C'-...というテーマと変奏の格好の曲で、特に変奏に細かい音符のパッセージが続く当時よくあったスタイルのもの。パターン化されたコード進行がなんとなくおざなりな感じの上に変奏の64分音符が聞き取りにくくて、なんだかモヤモヤした。

そのあとフランス組曲の4番と6番をやった。フランス組曲はアルマンドで始まるはずなのに、なんだかプレリュードがくっついている。6番の頭には平均律1巻のホ長調のプレリュードがくっついて、曲目を間違ったか、と思ってしまった。そのプレリュードが終わって例の勢いのいいフーガが始まると期待していると、6番の可愛らしいアルマンドが始まった。

後半の最後に5番をやったんだけど、これにも同じ調性の短いプレリュードがくっついていた。どうやらこれが今回の仕掛けだったらしい。フランス組曲は全曲いきなりアルマンドで始まるので、あってもいいかもしれないし、エスファハニとしてはおそらくいろいろ論理武装した上で持ってきているんだろう。でも聴いてて違和感が中途はんぱという感じがしないでもなかった。まあ、バッハで調性が違う曲をくっつけるわけにもいかず、かといって勝手な他人のものを持ってくるのも憚られて、ちょうどいい「落とし所」という感じかもしれない。でもどうせやるならもっと驚きがあってもよかった。

バッハの演奏としてはあまり小細工をしない素直な演奏で、大げさなアゴーギクはなし、フレージングも軽くてわかりやすい、なんだか優しい演奏だった。フランス組曲の雰囲気に合わせたのかもしれない。僕はなんとはなしにもっと目覚ましい演奏を期待していた。

僕が一番面白かったのは後半の最初にやったクープラン。客の方もしょぼい音に聴き慣れてきたというのもあって、シャッキリと輪郭のはっきりした演奏で、狭い椅子に座って窮屈に聴いているのを忘れるぐらい楽しいものだった。拍手の間に女房に話すと「クープランは彼にあってる」と同意見だった。

何が腹立つといって、またいつもの輩がいた。プログラム最後の、フランス組曲5番のジーグを弾き終わってエスファハニが鍵盤から指を離すかどうかというところで大きな音で拍手するやつがいた。チェンバロの音がしょぼいので拍手がさらにうるさい。フランス組曲でも屈指の名曲である5番のジーグが最後の最後にぶち壊された、という本当に嫌な思いをした。お前ら何しにコンサートに来てるだよ。もう来るな、二度と。まったくもう(ほんとにこのジーグは、シンプルな短い2声のフーガの中にぎっしりと音楽の喜びが詰まっている、バッハの中でも特別な名曲だと僕は思っている。僕にはこういう仕打ちは実に悲しい)。

アンコールに三曲、フォリアに似たスタイルの一定の低音進行に変奏をつけるというのが二曲(どちらもフォリア進行でも三拍子でもなかったけど)と、スカルラッティの見世物曲芸風の曲。ジーグ風の速い曲で手の交差が盛んにある。左手が4分音符の低音を弾いた直後に8分音符の高音のおかずを右手越しに弾くというのを繰り返したりして忙しい。エスファハニが椅子に座る前に、やおら上着を脱いで肩を回しだしたので、何のこっちゃと思っていたらそれだった。

全部が終わると、女房が大慌てで降りていった。何事かと思っていたらエスファハニのサイン会。ミーハーな女房は出たばかりの「ゴルトベルク」のCDを持参した。それがこれ。
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エスファハニは自分でアルヒーフのブロマイドみたいなのを持ってきていて、それにもサインをもらっていた。
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僕には、だからどうした、という感じしかしないんだけど、女房は喜んでいた。
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