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ガウシアンビームの光学 - その2 [ガウシアンビーム]

こないだ、「キュア・マクロン!」「キュア・ルペン!」「キュア・フィヨン!」「キュア・メランション!」「おまえ、語呂悪いな」というギャグを思いついたんだけど、時期を逸してしまった。

それはどうでもよくて、こないだから近軸方程式の解としてのガウシアンビームをじっくり導こうと始めた。前回は波動方程式を空間に依存する部分と時間に依存する部分の積に仮定しただけで終わった。サクサク行かないとまた他のネタに割り込まれてしまう。今日はその続き、一番簡単な解として平面波を導く....

1.2.1  変数分離に関する問題

前回やった波動方程式からHelmholtzの方程式を導くような簡単化は、微分方程式の解き方を習ったときに「変数分離法」だと教わった。

しかし変数分離がいつもできるわけではない。これは式を見ればあきらかなように、時間的な動きは場所によらずみんな同じ、あるいは場所によって大きい小さいがあるときは時間が経ってもそれが入れ替わったりはしない、という場合に限定することになる。しかし限定することで簡単になる場合があるので、これを受け入れよう。波動方程式のような線形方程式の場合は重ね合わせができて、単純な解を足し合わせることで複雑な解が表現できる可能性もある。

もちろんこの制限があることを忘れてそれを超えた議論をしないように気をつける必要がある。

例えば、$A(x,y,z)$を \begin{equation} E(x,y,z,t) = X(x)Y(y)Z(z)T(t) \nonumber \end{equation} とできれば、もっと簡単になって4つの定数を含んだ4つの常微分方程式にすることができる。しかしこれではいかにも解を限定してしまっている感じがする。任意の方向を向いた平面波はこの形になっているけど、もし場がいつもこう書けるなら、例えばCTスキャナはもっとずっと簡単にできるはずである(自由空間を議論しているのでちょっと言いがかりじみてはいるけど)。

1.2.2  時間に関する方程式の一般解

形の上で式-1:5「その1」に出て来た5式という意味。今後こう書くことにする。MathjaxはHTMLファイルごとに式番号を振り直すのでこうするしかない。全部手動でふればいいんだろうけどそれはめんどくさいし)は波動方程式の一般解である式-1:3とは一見すると、相容れないように見える。しかし式を見比べながらちょっと考えれば、この時点でどんな形の式になるか想像できてしまうので、すなおにその形を仮定してみよう。

つまり、式-1:5のような、関数どうしのかけ算が、式-1:3のような、その変数の足し算になるような形、というのはベキであることはすぐ思い浮かぶ。時間だけに依存する式-1:7のほうは常微分方程式になるので、こっちから考えることにして、$T(t)$として \begin{equation} T(t) = e^{ -i\omega t} \label{temporalsolution} \end{equation} とすると式-1:7は満たされる。突然複素数が出てきたけど、もしベキの肩が実数なら式-1:7を満たすことはできず(2乗どうしを足して0になるような実数は0しかない)、$T(t)$としてベキの形をした実数解はない、従って変数分離できる波動方程式解はない、ということになって話が進まなくなる。また、実数のベキでは遠い過去か遠い未来のどちらかで発散してしまって、あとで悩みのタネになるというのは想像がつく。

ここではとりあえず複素数の解も許して、あとから(方程式が線形なので)複素共役な解を足して実数解になるように調整できるだろう、という希望的観測のもとに続けることにする。それが可能かどうか(複素共役な解が存在するか)は、少なくとも式-\ref{temporalsolution}では複素共役な解も許されることは一目でわかるが、常に可能であるかはこの時点ではおいておく(古典的な実の場を扱っているので、もし実数解が得られない、となったらその解は捨てなければならない)。

ちなみに、式-\ref{temporalsolution}の負符号は式-1:3と同じことを表すということを期待してである。 ということで、空間に関する式-1:6の方だけ考えればいい、ということになった。この式をHelmholtzの方程式と呼ぶ。

1.3  平面波解

Helmholtzの方程式の解$A(x,y,z)$もベキの形をしていないとまずい、ということになる。

こちらも式-\ref{temporalsolution}と同じように考えると \begin{align} A(x,y,z) &= e^{i (k_x x + k_y y + k_z z)} \nonumber \\ k_x^2+k_y^2+k_z^2 &= k^2 \nonumber \end{align} とすることができる。これを使った解 \begin{equation} E(x,y,z,t) = A(x,y,z)T(t) = e^{i(k_x x + k_y y + k_z z - \omega t)} \nonumber \end{equation} はすなわちおなじみの平面波である。これの重ねあわせとして \begin{align} E(x,y,z,t) &\propto e^{i(k_x x + k_y y + k_z z - \omega t)} + e^{-i(k_x x + k_y y + k_z z - \omega t)} \nonumber \\ &\propto \cos(k_x x + k_y y + k_z z - \omega t) \nonumber \end{align} とすれば、実数解になって式-1:3の$f_0(q)$が$\cos q$の形になっている特別な場合である。これは時間的にも空間的にもあらゆる点が正弦波的に振動する無限に広がった波で、$\omega>0$の場合に時間が経てば$k_x\vectorize{i}_x+k_y\vectorize{i}_y+k_z\vectorize{i}_z$の方向に進んでいく。 ついでに言えば \begin{equation} \lambda=\frac{2 \pi}{\sqrt{k_x^2+k_y^2+k_z^2}} \nonumber \end{equation} は空間方向の正弦波の繰り返し単位の長さで、波長と呼び、 \begin{equation} \tau = \frac{2 \pi}{\omega} \nonumber \end{equation} は時間方向の繰り返し単位の長さで、周期と呼ぶ。

この解はFourier変換との関係であらゆるところで非常にお世話になるのはご存知の通りである。
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