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HiLetgoってなんだ? [Raspberry Pi]

知ってる人は知ってるんだろうけど、中国のメーカでHiLetgoというところがある。最近Amazonの例の頓珍漢な「おすすめ」にときどき現れるようになって僕は知った。

最初僕は中国の昔ながらのパチモンメーカだと思って敬遠してたんだけど、製品の多くがボードレベルの部品で、トップページを見て、あ、これはAdafruitのパクリだ、と思った(Digi-KeyMouserといった似たような、より古いブランドもあるけど、まず頭に浮かんだのがAdafruitだった)。主力のボード製品はAdafruitとそっくりに、その昔トラ技に載っていたような「ちょっとしたお役立ち回路」的なものが大量にある。ボード製品はArduinoを初めから想定していたり、そうでなくても比較的簡単に繋ぐことができるようなものがたくさんあったりする(言及はないけど、多くはI2C接続なので、仕様さえわかればRaspberry Piにも繋がるはずである)。それ以外にも単なるユニバーサル基板やケーブルから、USB接続のロジアナ、はてはなぜかカプトンテープまである(おっとそれはAdafruitにもあった。こんなとこまでパクってるということか)。

Adafruitが教育にも配慮されていて、子供達に楽しみながら勉強してもらおうという姿勢を持っている(それがときどきウザかったりする)けど、HiLetgoにはそういう構えた考えは微塵もなさそうである。Adafruitが素人にも親切なのと対称的に、HiLetgoのほうは製品ページによっては仕様がはっきりしなかったり、ピン配置はおろかピンに何の信号が出てるのかもわからなかったりして、知ってる人なら見りゃわかるだろ、という姿勢がありありとしている。

しかし、それよりもなによりも、とにかくめちゃくちゃ安い。Adafruitでは面白そうなボードがあっても日本から手配しようとすると案外高価になってしまって、部品だけ集めて手ハンダするかという気になってしまうけど(以前のPCM5102Aを積んだRaspberry Pi用オーディオ出力ボードAdafruitにもある。最近は個人輸入でなくても手に入るようになったけど、ちょっと前までは部品を集めるのに比べてかなり割高感があった)、HiLetgo製品は全く違う。Amazonで出てくるのだけ見ても、似たような部品を使った同じような仕様の他社製品と比べると、ヘタをすると一桁安いんではないか、と疑ってしまって、使われている半導体の型番を調べたりしてしまいそうになる。日本で部品を小売から集めたら、同じ部品を使ったHiLetgoボードの方がたいてい安くなるだろう。どうやって作ってるんだろうか。

ということで、僕も試しに使ってみることにした....

ということで買ってみたのは降圧型のDC/DCコンバータで、3つで800円。とんでもない値段。でも型番も何もわからない。自身のサイトのProductページにもそれらしいものはない。基板に乗っている半導体はXLSEMIというやはり中国のメーカのXL4015を使っているらしい。XLSEMIはDC-DCコンバータ用の半導体を主に作っているみたい(なんだか落語の「十徳」みたいになったな。「みたいみたいでむたい」「ようなようなでやあな」)。

なんでこんなものを使ってみようと思ったか、というと、仕事でのある実験のために定格電流が1AのLEDをRaspberry Piからドライブしたかった。電流が大きいのでパワートランジスタで降圧すると大きな放熱板が必要になる。そこで+5Vを直接つないでPWMでパワー制御しようと思った。そうすればD/Aコンバータも必要なくなるという大きなオマケもあるし。で、下の図のようなMOS FETを使った簡単な回路で、Raspberry PiからハードウェアPWMの信号を与えてみた。
0212fet.png
MOS FETをゲート電位の低いタイプのものにすれば、直接Raspberry PiのGPIOで制御できるはずだった。

いや、MOS FETはその通り動いたんだけど、LEDに電流が突入して電源の5Vが振られてしまった。5V電源そのものは電流に十分余裕があるはずだったんだけど、5Vは他の回路にも使っていて品位が低下するのはまずかった。そこでDC-DCコンバータを挟んで、LEDの定格電流のときの電圧降下の最大値付近に電圧を設定して5Vへの影響をDC-DCコンバータに吸収させようと思った(LEDに繋がった1Ωセメント抵抗をやめて電源の代わりにLEDの定格に調整したDC-DCコンバータ出力を直接繋ぐ)、というのが動機。

とどいた現物はこんなの。
0211hiletgomodule.jpg
これと同じものが三つも。部品面側のハンダはリフローで、裏の5箇所に手ハンダされている。いつぞやのとは違ってきれいなハンダになっている。ハンダ付けだけでなく、全体的な品質もいつぞやのとは違っていそうである。

3つのうちのひとつを会社に持って行って、入力に5Vを与えて、10mAぐらいの負荷をつないで出力を4Vちょっとぐらいに調整してみた。その出力には
021122msdiv.png
みたいなリップルが乗っている(縦軸V-ACで、GNDからの電位は+4Vほど)。横軸がないけど2msec/divで、3msec周期ぐらいで大きくなってる。これはひでぇ、と思ったら電源供給を止めても同じリップルが乗ってた。ひどいのは僕の作業環境らしい。どうもグランドに大電流が流れてるのか、別のところに取り直すと大きくなったり小さくなったりする。ひでぇ。

どうやらリップルは濡れ衣らしいので、とりあえずこれでLEDをドライブしてみると
021210usecdiv2.png
PWMの周波数は100kHzでduty 10%、赤青線がそれぞれLEDの両端の電圧(つまり青線がDC-DCコンバータ出力)で、横軸は10$\mu$sec/div、縦軸のスケールとGND位置は同じ。これでもLEDはめちゃ眩しい。

FETがオフするときにリンギングが出てるけど、これはゲート抵抗がちゃんと最適化されていないからだろう。330Ωでもまだ小さいということなのかな。まあそれはどうでもよくて、出力がPWMに振られてはいるけど、FETがオンの時には1A近く流れているはずなので、出力インピーダンスは小型の電源としては悪くないと思える。それにこれはLEDにしか使わないし、供給元の5Vには影響を与えてないことは確認した(データ取り忘れた)。

ところで、FETがオフのときにLEDの電圧がDC-DCの出力と同じ4Vぐらいにならないのはなんでだ?ドレイン-ソース間によけいなコンデンサを挟んだせいか?2.2Vぐらいで可視光のエネルギーに足りないので光ってはないし、電流も流れてないんだろうけど。オフのときのFETのインピーダンスより順電圧が低いときのLEDの方が高い、ということか?こういうところで回路に対する理解の浅さが露呈するな。これがなんでだかわかる人、教えて。

Raspberry PiからLEDを制御するために、D/Aコンバータとパワートランジスタと大きめの放熱板を買うよりこっちの方がもう全然安いし、放熱の心配はなさそう。少なくともこう言う用途には十分だろう。長期的な信頼性はぜんぜんわからないけど、実験に使う程度なら問題はないだろう。ところで、この程度のものでいいので絶縁型のDC-DCコンバータを作ってくれないだろうか。1個3〜400円ぐらいで手に入るなら僕は買うぞ。



ちなみに、スイッチング電源メーカのイーター電機が去年倒産した(倒産したあと本家サイトは放置されてたけど、とうとう先日閉じてた)けど、こんなのと太刀打ちしようと思ったら並大抵ではない。HiLetgoが倒産の原因ではないだろうけど、倒産しなくてもこれからこういうのと競争しないといけないとすると、やっぱり厳しかっただろうな。
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