LilyPondソースと諸星「碁娘伝」 [音楽の周辺]
楽譜清書ソフトであるLilyPondには運指のための数字を追加する機能がある。
音の後ろにハイフンで数字をつなげるだけで良い。
例えばこんな風に
四分音符の和音
<c e g b>4
を
<c-1 e-2 g-3 b-5 >4
と書けば
と出力してくれる。
こういうのはピアノやギターだけではなく、管楽器も含めたいろいろな楽器で指使いを指定するやりかたなので、LilyPondでは簡単にできるようになっている。
他にもInstrument-specific notationとして、例えばギター用として弦指定、右手指の指定(i,m,a,p)、タブ譜やフレット図の追加、ポジショニングなどが書き込める。
ところが、これ、曲に合わせてあとから書こうとすると、とても大変。LilyPondのソースは音程をa,b,c...で、長さを4、16、32とかで指定するので、ぱっと見てそれが曲のどの部分になっているのかなかなかわからない。そこに楽器を抱えて実際に音を鳴らしてみながら運指を入れようと思っても、どこがなになのかすぐにはわからない。
僕は子供の頃からギターを弾いているので、運指のついた楽譜を見て音や左手指の形をある程度想像できるけど、タブ譜は全然だめだし、ましてやLilyPondのソースから音を想像するのはほとんど不可能。まあ、慣れなんだろうけどね。
諸星大二郎の漫画に「碁娘伝」というのがある。
中国の唐の時代の囲碁と剣の達人の美人殺し屋の話で、痛快活劇を諸星のあのタッチとディテールでやってしまうというなかなか面白い漫画。十五年以上もかかったシリーズらしく前と後では全然タッチも違うけど、主人公の碁娘こと玉英がちっとも美人に見えないところが諸星らしい。
その中に「闇碁」というのが出てくる。碁盤を前にせず「十四の六」「十二の六」「十二の五」「十四の十一」などとお互い譜を言い合いながらそれぞれの頭の中に碁盤を思い浮かべて碁の勝負をする、というのである。将棋やチェスでも常人技ではないと思うのに四百個近い石の位置を覚えるというのはすごい話だと思うけど、きっと、これが「OのG」「MのG」「MのF」「OのL」とか(19×19条だからアルファベット二文字で足りる)だと、「ぐわー、わからん!」とかいって狂いだすに違いない、絶対。
何が言いたかったかと言うとLilyPondソースも慣れてしまえば、それを読んで頭の中に音が鳴るところを思い浮かべることができて「ふんふんふん、と、なかなかいい曲だねえ」とか言えるようになるのかも。そうすれば運指をソースに書き加えるのはそれほどの問題でも無くなるけど。
運指のついた楽譜を見て音や左手指の形をある程度想像できる、というのはすごいですね。私なんか運子のついた楽譜を見てにおいが気になる、ぐらいがせいぜいですわ。
by つる美 (2008-10-24 17:24)
コメントありがとうございます。楽譜で拭いてはいけません。楽譜ににおいがつくことと、さらに紙が悪いのが多いので拭かれる方にもダメージがあると思います。
by decafish (2008-10-26 22:46)