LilyPond on Leopardその5 [音楽の周辺]
こないだ発見したPowerPC版Mac OSX 10.5 LeopardでLilyPondのバイナリが動く件、TeXShopから呼べるようにした。
TeXShopはMacOSXのLook&FeelでTeXのソースを編集してコンパイルできるようにするソフトでこれなしにLaTeXを書くことができなくなってしまったぐらい依存している。日本語でTeXShopに関するWikiがある。
この何年も、会社で書くレポートは、数値的に厳密なグラフはMathematicaで描いてIllustratorで微調整して、適当なイラストはやはりIllustratorで描いてLaTeXの\includegraphics*で読み込んで最終的にpdfにする、ということをしている。全部Macの上でできる。
昔(20年前のこと、古い)はunix上(DECのVAXやNEWS OSの、もうとっくに死語やね)のLaTeXを使っていたが、簡単な絵を描くのに困ってしまった。LaTeXに簡単な絵を描く機能はあるがこれを使って説明用の絵を描くのは至難の技。その当時は結局絵の部分に白い箱を出力してプリントアウトしてそこに手で絵を描いてコピーしていた。
90年代に入って(まだ古い!)LaTeXでPostScriptの読み込みが\graphicsや\graphicxのパッケージでできるようになってIllustratorのPS出力機能が一気に便利になった。当時はMathematicaで描いたグラフをPostScriptで書き出し、それをIllustratorで読み込んで編集するというやりかたで学会スライドやプレゼン資料を作っていた。それがLaTeXに取り込めるようになった。しかし当時はLaTeXはunixマシンで、MathematicaとIllustratorはMacで、という屋根屋のふんどし右と左に泣き別れ状態だった。
慶応大(当時はたしかよその大学にいらした)の内山さんと言う方がMacでLaTeXが使える環境を整備して下さって、この人のおかげでMathematica → Illustrator → LaTeXを全部Macの上でできるようになった。その後、ソニーはunixから撤退するし、VAXを作っていたDECはコンパックに吸収されて跡形もなくなってしまうしで、LaTeXを使い続けることができたのは内山さんのおかげです。当時はお世話になりました。本当に感謝しています。
MacがOS XになってunixになったおかげでLaTeXを使うことは問題なくなった。しかしコンパイルにはターミナルを開いてコマンドを打ち込んで、という手間は依然としてあった。それを簡単にしてくれたのがTeXShopで、エディタからpdfの表示までアプリケーションを切り替えることなしに作業ができるというのは大きなメリットがある。
そのTeXShopがLilyPondなどのテキストでソースを書いてコンパイルしてpdfファイルを作ると言うTeX型の作業を一般的に扱えるようになった。
~/Library/TeXShop/Engines/のディレクトリに*.engineという、その中にコンパイルするshell scriptを書いたファイルを作っておけばよい。
TeXShopを立ち上げるとこのようにタイプセットボタンの横のポップアップメニューに表示される。
これでタイプセットすればコンパイルされて、コンパイラからのstdout、stderrはコンソールに表示され、生成されたpdfは別ウィンドウで表示される。
例えばLilyPondの場合(MacOSX版をアプリケーションフォルダにインストールしていたら)、
#!/bin/tcsh # Assuming that LilyPond application is installed at Applitcations Folder. # If you did install through other distribution, # you should change path or specify the command path directly. set path = ($path /Applications/LilyPond.app/Contents/Resources/bin/) lilypond "$1"
などと書いてLilypond.engineとして先のディレクトリに作っておけばOK(コメントは書く必要ないけどね)。
すばらしい。これでちょっとなさけないMacOSX版LilyPondのエディタを使わなくてすむ。
いやー、偉い人たちの地道な努力のおかげで今楽させてもらってるのね。頭が下がりますし、感謝しています。
最近、会社に入ってくる若い連中は、技術屋のくせにエクセルやワードパワポンばっかりでTeXが使えないというのがほとんど。レポートやプレゼン資料に数式を書くのは大変だろうと言うと「式書かないもん」数字の並んだ表とそれをプロットしたグラフは描くけど解析的な式を書いて現象の素性を表現すると言うことはない。だからTeXが使える必要はないらしい。
まあ、それでええならええけどね。10年もすれば技術屋なのにお金の計算だけが仕事になるよ、君たち。よかったねえ、仲間が大勢いて。
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