偏光の計算 - その7 [偏光のMathematicaによる計算]
昨日のセナルモン法の種明かし。ジョーンズベクトルで計算して、ポアンカレ球上で軌跡を考える。
原理 - ジョーンズベクトルでの計算
まず、このセットアップをジョーンズベクトルで計算してみる。 ポラライザの透過軸がx方向を向いていて、透過した後の光が
となっているとする。被検波長板の位相差をδとして、被検波長板透過後の光のジョーンズベクトルJuは、ちょっと計算して
となる。ここでR(θ)は式-21の2次元の回転のマトリクスである。これを、さらに1/4波長板に通す。1/4波長板は軸がポラライザに一致しているとして透過し、さらにθだけ回転したアナライザを通すと考えて、逆に1/4波長板を通った後のベクトルを-θだけ回してx成分が0になったとする。-θだけ回した後のJはちょっと計算が煩わしいけど
となる。このx成分の強度Ixは
となる。Ixは明らかに で0になる。最初の手順でアナライザは90°(π/2)回転させてあったので、アナライザを透過しなくなる角度からの回転角θを2倍すると位相差に等しくなる。ごたごたしたけど(y成分を見た方が簡単だった、式-30がsinになる、と今気がついた。まあ同じこと)、これで証明できたことになる。
なお、式-8や式-14のストークスパラメータのs3を導くのはこの方法で計算するのが一番簡単。それぞれの式を導くところでは省略したが、
- 仮想的に1/4波長板を挿入する
- そのあと仮想的に透過軸が波長板の異方軸に対して45°傾いたポラライザを挿入して透過光強度を計算する
- さらにポラライザの透過軸を-45°にして透過光強度を計算する
- その強度からs3を計算する
上でやったように面倒な計算になるので計算過程は省略する。Mathematica を持っている人にとってはそれほど面倒ではないはず。明日は同じことをポアンカレ球の上でやってみる。
2009-02-26 22:16
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式(29)の計算:R(-θ)がR(θ)になっています。
・回転方向の向きはそれほど重要でないのでしょうか。
by 匿名 (2016-09-09 15:17)
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り間違っています。
僕のいつもの癖で符号を適当に書いてしまっています。
セナルモンに限らず、位相の符号なんかもしょっちゅう入れ替わってしまっています。
古典物理は符号反転に対称なので、一度どちらかに決めてしまえばどうでもいいのですが、一度決めたら最後まで一貫しないといけません。
僕はどうしてもその辺りがルーズで、いつの間にかひっくり返っていることがよくあります。というのも、この手の符号の問題は最終的に結論に影響ないことが多くて、さらに実際の測定などではどっちみち何か別の手段で符号を決定する必要があることが多いせいなのですが、たまに痛い目にあいます。
というかこれまでよく痛い目にあってきました。が、なかなか改まりません。
式-29のままでは式-30の$\theta$の符号が逆になって、式-31にマイナスがついてしまいます。かっこ悪いです。
今後気をつけますが、僕の記事を読むときはまず疑ってかかる、という姿勢でお願いします。
by decafish (2016-09-09 16:02)