SSブログ

「異種間通信」読了 [読書]

ジェニファー・フェナー・ウェルズ著、幹 遙子訳、ハヤカワ文庫SF。
0201Fluency.jpg

完全に期待はずれ。期待した僕が悪い、というのもあるけど。

スタンフォード大の言語学者であるジェーンは、NASAから来たベルゲンという男の訪問を受ける。ベルゲンはその場では言えない目的のミッションにジェーンが候補として上がっていて、まずジョンソン宇宙センターまで面接を受けに来いという。拒絶しながらも結局は興味にかられて面接に行ったジェーンは、仕事場が火星軌道付近の小惑星帯であること、いろいろな分野の専門家5人と一緒であること、などを聞かされる。

実は、有名なロズウェル事件は事実であり、小惑星帯にあるのは巨大異星船で、ロズウェルに墜落したUFOの母船らしいというのである。それをNASAは事件発生当時から知っていたが、最近になって小惑星のひとつが母船に衝突する可能性があることがわかり急遽、探査チームを送り込むことになったという。その中でジェーンの任務は、未知の言語を明らかにした経験のある専門家として異星船に乗っていると考えられる異星人との意思疎通を図ることである。やがてジェーンとベルゲンを含んだ6人は半年の不自由な宇宙船内生活ののち、異星船にたどり着く....

邦題と腰巻きの惹句から、異質な知性との意思疎通の困難さとそれを克服する物語、いわゆるファーストコンタクトものだろう、と勝手に思い込んで読み始めた。

ところが、ロズウェル?ぷぷっ、人工重力ぅ?ぷぷぷっ...とハードSF者にとってはつらい単語が出だしから現れる。そして話が2割ほど進んだところで、なんと異星人はプロトコルの確立をすっ飛ばしてジェーンとテレパシー(うぷぷぷぷっ)で会話し、情報を直接脳内に与える。なんじゃあ、そりゃあ。そんなもん言語学者いらんがな。誰でもええがな。原題の「Fluency(流暢)」はそういう意味だったのか。

巨大異星船内のようす、異星人の母星の状況や彼らのメンタリティ、メンバ間の確執、後半に明らかにされる異星人(ただし、異星船の本来の乗組員ではない)の姿、などなど類型的というか、異質さを表現しようとして「表現された異質さ」というマンネリに陥ったような、見慣れた風景のパッチワークのように思える。

最初は、手垢の付きまくったロズウェル事件をあえてSF小説の中に取り上げたからには何かヒネリがあるんだろう、と思いながら読んだけど結局、最初のNASAでの場面以降ずっと忘れられたままで終わってしまった。単にそういう設定ということらしい。これもロズウェルでなくてもなんでもええがな。SFをナメてんなあ。かといって、お子様向けかと思っていたら、後半にはセックス描写が(ジェーンの空想ではあるが)あったりする。そして後半は異星人が恋敵で他のメンバが取り巻きの脇役となった、ジェーンとベルゲンの恋物語に収束していく。

残念ながら僕はもうそんなものにときめいたりしないので、ベルゲンが異星人相手に鞘当ての独り相撲をとったり、進捗しそうでしないベルゲンとジェーンの仲に読者をじりじりさせようとする記述を読みながら、これではハーレクィンロマンスではありませんか、と思ってしまった。

テレパシーは不思議な魔法ではなく、量子のエンタングルによるもので、異星人の量子力学は人類のよりずっと進歩しているそうである。くくくくく、あぁ、セックスシーンより恥ずかしいわ。だいたいそんな進歩した物理学を持ってる異星人と簡単に意思疎通が図れるんだったら、素粒子論と相対論がどうやったら調停できるかをまず訊けよ。人類の物理学にとって緊急かつ焦眉の大問題なのに。

ところで、アラフォー・ジェーンとベルゲンの恋仲なんてどうでもいいけど、僕なら異星船には放送1年目の頃のまいんちゃんがいて、意思疎通をとろうとすると
「このロリコンめ!」
と叱責される、というようなストーリだとときめくかもしれない。いろいろ試行錯誤したあげく、小惑星帯に年増好きやデブ専メガネフェチまで派遣するが結局、意思疎通は失敗に終わる、というような話だとSFとしても好きかもしれない(ロリコンSFという新ジャンルだな、これは。あ、もうすでにあるか)。

また、ひとによっては3人の女性アシスタントに
「今日から先生のことをコキ虫とおよびしますわ」
「ええ~」
「・・・・・・・・・」
「コキ虫!」
「うへ~」(ちょっとうれしい)
というのがいいということもある。もう読んだ本とは全然関係なくなったけど。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

お名前(必須)

感想がくだらない
もう少しまともな書評かと予想したが、読んだ時間が無駄だった
by お名前(必須) (2018-08-23 10:49) 

decafish

へーんだ、くだらないなんてわざわざ言われなくても、わかってますよー、だ。

それこそ、そんなくだらないものに、さらにくだらないコメント入れるぐらいなら、こっちが「ははっ、まいりましたっ」と頭を下げたくなるようなコメント書いてみろよ、ばかやろー。

しかいしまあ、記事を読み返してみると、たしかに自分で読んでもくだらないとは思うけどな。


by decafish (2018-08-23 14:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。