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なつかしい「The Manhole」 [昔話]

仕事に使っていたワークステーションからMacに強制的に乗り換えさせられたあと、ある人が仕事とは関係ないフロッピーディスクの束を僕に貸してくれた。その人は乗り換え指示をした僕の直属の上司の会社での友人で、別の部署の当時課長(社内では数少ない光学の先輩)だった。その人は社内では珍しく僕より先にずっとMacを使っていた...

Macのハイパーカードで動く「The Manhole」というスタック(ハイパーカードの実行ファイル)だった。その先輩はアメリカ出張に行ったときにそれを手に入れて帰ってきたと言う。それは何と言えばいいのか、ゴールのないゲームのようもので、画面に描かれた童話的な情景をただクリックすることで操作するものだった。クリックするとある場合は描かれたものが反応したり、ある場合は別の場面へ遷移したりという、ただそれだけだった。

当時のMacはまだモノクロ2値の画面で今から思うとわびしいものだったけど、描かれた情景はどこか不思議なファンタジーの世界で、フロッピーディスク数枚を使った当時としては大掛かりなものだった。それが思いがけず新鮮で、何日もの休み時間をその探索に費やす(突然音が出たりするので仕事中はできなかった)ことになった。もうほぼ30年前のことである。

これがMYSTに繋がったらしい。それはコンピュータゲームの一つのジャンルにまでなったということのようである。

当然、もうすっかり忘れていたんだけど、たまたまうちに帰ってきていた娘がやっていたゲームを横で見ていて思い出した。何となく探していると、ブラウザで動くエミュレータを使ったアーカイブがあることを知った。すごいな。Javascriptでハードウェアのエミュレータを実装すること自身もすごいと思うけど、さらに散逸してしまいがちな古いものを集めてちゃんと動くようにする、というのもなんというか、濃い、という感じがする。僕にはできない。
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動かしていて「アリス」に出てくるようなウサギやウミガメやカエルやセイウチ(エレベータに乗るとあとからセイウチが入って来るときはちょっと怖い)とか、ラプンツェルの塔やジャックの豆の木や元ネタがわからない消火栓を見ていると、当時の30歳になったばかりのころの自分のことを思い出してしまった。その頃の僕は何にも考えずにただヘラヘラとしていた。まあそれは今でも変わらないかもしれないけど、当時は今よりももっとヘラヘラしていた。懐かしいのと恥ずかしいのとに襲われてしまう。

ああ、懐かしい、ああ、恥ずかしい。
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