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味は何で決まるのか? [日常のあれやこれや]

僕らはいろいろな生き物を食べる。ほとんどは火を通すなどの調理の過程を経る。食べるときに味がする。キャベツはキャベツの、大根は大根の、豚は豚の、鶏は鶏の味がする。なんで種ごとに味が違って、味から種が特定できるぐらい種の中では同じ味がするんだろう。

人間の舌には味を感じる部分があって、甘酸塩苦とうまみの5種類を感じることができる、となっている。それ以外に食感や匂いが加わる。さらに温度や見た目がそれに影響する。味覚は自分の口にしたものが栄養のあるものかあるいは毒なのかを意識させる最後の砦として進化したんだろう。

舌にある味蕾の味覚細胞は多くはイオンを感じるんだろう。そしてそのイオンがくっついている先の分子の形で感度が変わったりするんだろう。「うまみ」はグルタミン酸を感じるということになってるけど、それ以外のアミノ酸やヌクレオチドも感じるらしい、というかそうでないとおかしい気がする。

大きく分けて植物と動物では、前者はセルロースとリグニンが多くて、後者はタンパク質と脂質が多い、という違いがある。セルロースやリグニンは人間は代謝できないけど毒にもならないので味として無感覚なのはわかる。糖は比較的簡単に代謝してエネルギーにできるし、アミノ酸やペプチドはそのままタンパク質の材料になるし、ヌクレオチドはDNA、RNAやリン脂質の材料になるわけだから、好意的な感覚をもたらすというのはわかる。

種によってDNAの塩基配列は違ってるけど、タンパク質としてコードされている部分以外がいくら違っていても、細胞質量全体からいえばほんのわずかなものなので、食べた時の味の違いとして現れるとは思えない。そしてタンパク質にコードされている(エクソンというのか)配列は何度も同じタンパク質を量産するわけだから少しの違いが増幅されるはずである。しかし同じような機能を持つタンパク質は種が違っても大きくは違わないはずで、それはなぜなら違い過ぎれば機能を果たせなくなってしまうからである。

そう考えると、ざっくり言ってしまえばそういう代謝可能な材料レベルで言えば植物どうし動物どうしで比べれば似たり寄ったりで、食べたときの味が種によって違うというのは不思議である。

種独自の代謝の結果、体に蓄えられる物質に違いが現れる、というのはあるかもしれない。たとえばフグはテトロドトキシンを選択的に体内に蓄える仕組みを持っていたりする。言うなれば2次的な種の違いである。フグの場合はフグ以外には毒なので極端な例だけど、似たようなメカニズムで種ごとに違う物質が蓄えられるという可能性もある。その場合メカニズムはいろいろに広がって考えるのが難しくなる。

しかし肉の食感の違いなんかは、DNA配列の違い以外で説明はつかないはずである。筋肉が筋肉として機能するためにはアクチンとミオシンが必要で、そのアミノ酸配列は動物種によって大きくは違わない。となるとその整列のされ方みたいな高次構造とか、基材となるタンパク質構造の違いとかにバラエティがあるということなんだろうな。そういうのは構造体として維持できれば違っていても問題ないはずだし。



昨日、息子が母親に言付かったお使いで、鶏モモ肉の代わりに胸肉を買ってきてしまったおかげで、今日の夕飯が胸肉ざんまいになってしまった。モモと胸でも食べるとこんなに違う。付け合わせの人参になると、味や匂いや食感の違いが途方も無いような気がした。食べててなんかすごく不思議に思ったので。


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