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微細構造定数とリーマン予想 [日常のあれやこれや]

急にいろんなところでバズってるアティヤ先生の論文。公開されてる論文を読んでも微細構造定数の話はよくわからなくて、参考文献[2]にあがってるその前の「2018-The_Fine_Structure_Constant.pdf」を読まないといけないらしい。しかしそれを読んでもやっぱりよくわからない。数学のところがよくわからないせいかもしれないけど。

微細構造定数って、なにか電子の電荷$e$とか、あるいは量子論的なそれにかわる場の定数や、もっと一般にそれらと他の物理定数($c$や$\hbar$とか)を含んだ量との関係が示されないと、その物理的な内容がわからない。しかしふたつの公開された論文のどちらにも何の言及もない。従って何をもってその定数が「微細構造定数」だと言っているのかまったくわからない。単に値が似てると言っているようにしか僕には見えない。

参考文献[2]の7.1式がキモらしい。この内容は僕にはまったくわからない。この中の積分は当然$j$と$\log j$に関する式になって$j$を大きくすると$j^2 \log j$ぐらいのオーダで発散するけど、それぞれの項に$1/2^j$がかかってるので無限和は収束するっぽいとは思える。すでにMathematicaでこれに従って値を計算して微細構造定数の値から遠いと言っている人もいる。

僕は純粋物理の専門家でも数学の専門家でもないけど、ふたつの論文をさらっと読む限りは「トンデモ」の匂いがそこはかとなくしてるように思えた。アティヤ先生にとってこの微細構造定数の次は重力定数$G$なのだそうで、そうなるともう「トンデモ」以外の何物でもない、という感じがする(重力定数は幾何学的な量とエネルギーとを結びつける定数だろ? どうやって無次元化するんだよ?)。それにそもそもリーマン予想に関係する部分は「証明」でさえなくて、歴史を延長したSF的妄想の連鎖にしか思えなかった。



しかし、もし微細構造定数が他の物理量と無関係に、純粋に数学だけで導けるなら、ネイピア数$e$や円周率$\pi$だけではなく、もっと時空の基本的な構造に関係したもの、要するに整数論的な量でないとおかしいと僕は思っている。だいたい$e$や$\pi$と言った解析的な量は、単なる変換係数みたいなもので本質的ではないはずだと僕は思う。

そう考えると参考文献[2]の7.1式は見た目がいかにも解析的数論ぽいし、微細構造定数との関係式1.1にはオイラーの定数が含まれたりしてて、Wylerの定数よりはずっとマシに感じる。しかもまずリーマン予想の解決があってその結果、というのもいかにもという感じでいい。でも、やっぱりもっとはっきりと時空の構造と結びつくような式でないと僕にはもっともらしくは思えない。

だいだいがして、4次元だ10次元だ、いや11次元だ、なんて言ってるのにそれをすっ飛ばして基本定数が決定できると言うのは、僕的には、まだまだやな。
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たこやきおやじ

pdfの冒頭に書いてあるファインマンの言葉は、以前文庫本の「光と物質のふしぎな理論」の「4未解決の部分」に書いてあるのを読みました。これを読んだ時、私は微細構造定数の何がわからないと、ファインマンが言っているのかがわかりませんでした。
(^^;
かのファインマン大先生が分からない事が分かったのなら、ノーベル賞級だと思うのですが。(^^;

ところで、変調弦色々と試して楽しんでおります。(^^;
by たこやきおやじ (2018-09-28 21:10) 

decafish

コメントありがとうございます。
ファインマンのその本は読んでませんが、ファインマンさんがこう言ったというのはきいたことがあります。

微細構造定数は量子力学的には電子1個がフォトン1個と相互作用する確率に関係する量ですが、古典的には電荷による電場の大きさを決める量、つまりこの値によって真空の誘電率が決まっている、と言っていいと思います。これが決まらないと電磁現象は確定しません。

いくつかある独立な物理定数がなんでこの値なのか、という疑問は宇宙の成り立ちに直接関係しているので、その値が導けるということは非常に原理的な、必要とする仮定が限定されてないとおかしいと思います。

つまり、もし微細構造定数の値が導けたなら、宇宙が始まって膨張して星ができて、というようなことが起こる舞台としての時空の何らかの性質からのはずです。

その時空の構造がまだよくわかってないのに、微細構造定数だけが決まるというのは、僕はおかしいような気がします。ついでに言えばネイピア数や円周率のような解析的な数は、人間が作り出した理想的な(単純化された)「実数」という世界のものであって、それらだけの組み合わせから微細構造定数のような原理的な量が導けるとは、僕にはまったく思えません。

また、逆に言えばもし本当に微細構造定数の値が導けたなら、そこから時空の構造の理解が一気に進むはずで、そのあかつきには量子論と相対論を調停する統一された時空と宇宙に関する理論が確立できると思います。

もちろんそういう事態も期待したいですが。
by decafish (2018-09-29 10:28) 

decafish

書き忘れました。

ギター用に書かれたのではない曲を、普段とは違う調弦で弾いてみると案外面白い発見があったりします。もちろん弾けなくなったりもしますけど。

今度また新しいバッハ編曲をあげるつもりでいます。その時はまた見てください。このところなかなか時間が取れなくて進まないのですが....
by decafish (2018-09-29 10:34) 

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